研究課題
本研究では、二つの役割を担う有機触媒を開発し、それを用いた制御重合を企図した。本年度は、第一に、分子量分布の制御に加えて、共重合組成を変化する触媒を検討した。触媒として酸性の有機分子(例えば、トリフルオロメタンスルホニウムメチルペンタフルオロベンゼン)を用いることで、スチレンとメタクリル酸メチルのランダム共重合において、分子量分布が制御されるとともに、組成がフリーラジカル重合のそれよりもスチレンに富む傾向のポリマーが得られた。第二に、分子量分布の制御に加えて、水酸基を重合中その場で開始基に変換する機能を担う触媒を検討した。触媒としてN-ヨウ化コハク酸イミドを用いるとともに、水酸基を側鎖に有するビニル化合物をモノマーかつ開始剤として用い、多分岐(ハイパーブランチ)ポリマーを得た。第三に、熱とともに光で重合を誘起する触媒を検討した。ヨウ化アルキルに配位して、ヨウ化アルキル触媒錯体を与える触媒を利用し、生成する錯体の熱解離と光解離を利用した熱重合と光重合を行った。吸収波長の異なる有機触媒を使い分けて、幅広い励起波長(350 nm から 750 nm)にて光重合を検討し、機能性モノマーへの適用を拡張した。さらに、触媒を組み合わせることにより、励起波長を細かく制御して重合を誘起できた。このような幅広い波長域で重合を励起できるのは、構造の大きく異なる様々な有機分子を触媒として利用できる本重合ならではの特色となりうる。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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