研究概要 |
生理活性多糖であるグリコサミノグリカンの構成糖の合成、及びそのアクリルアミド誘導体を合成した。これを重合することでグリコサミノグリカンのモデル化合物となる糖鎖高分子を得た。また、これらの生理活性をアルツハイマー病防御の観点から検討した。 グリコサミノグリカンの中でも、ヘパリン、ヘパラン硫酸といった主要なグリコサミノグリカンに含まれる硫酸化グルコサミンの誘導体を位置選択的な硫酸化によって達成した。平成23年度研究ではN-アセチルグルコサミン(GlcNAc)を出発原料として、3位硫酸化糖、4位硫酸化糖、6位硫酸化糖、3,4,6位硫酸化糖を合成した。またグルゴースを出発原料として、グルクロン酸を合成した。これらについて、p-アクリルアミドフェニル型の重合性糖化合物とした。また、合成した重合性糖化合物については、フリーラジヵル重合によってアクリルアミドと共重合することで、グリコサミノグリカンモデル糖鎖高分子を得た。糖の含有率はモノマー比率で10-20%程度とし、分子量は10万オーダーとした。 得られた高分子については、アルツハイマー病関連酵素である、βセクレターゼに対する阻害活性を測定して評価した。βセクレターゼ活性は、糖鎖構造に依存し、6位硫酸化糖、3,4,6位硫酸化糖高分子は有意な阻害活性を示し、特に3,4,6位硫酸化糖高分子が顕著な阻害活性を示すことがわかった。また、天然のグリコサミノグリカンであるヘパリンも強い阻害活性を示すことから、硫酸化糖鎖高分子がグリコサミノグリカンモデル高分子として優れた活性を示すことがわかった。
|