我々はナノ粒子間のキャリア輸送改善がナノ粒子デバイス実現のための必須項目であると確信し、配位子層へ電気伝導性を付与すべく、大環状π共役系配位子のπ軌道を金表面に強固に固定化した金ナノ粒子、すなわちπ接合金ナノ粒子の合成を行ってきた。金ナノ粒子の保護配位子としてフタロシアニン誘導体の合成と、これらに保護された金ナノ粒子の調製を行った。得られた金ナノ粒子のUV-visスペクトルから、フタロシアニン環のQ帯に帰属されるピーク強度がほとんど消失し、金軌道-フタロシアニンπ軌道間相互作用により、フタロシアニン環の電子状態が影響を受けていることが示唆された。以上述べたπ接合金ナノ粒子は安定な溶液として利用可能であり、常温常圧での塗布乾燥のみによって金属光沢を有するナノ粒子薄膜を作製可能である。このフタロシアニン誘導体によって保護された金ナノ粒子を合成し、常温での塗布乾燥のみで7000S/cmの世界最高値の達成に成功した。また、金に加え、フタロシアニン誘導体によって保護された銀ナノ粒子の合成にも成功し、さらにこれらのナノ粒子の大量合成(固形分で日産1Kg)にも成功した。
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