研究課題
次世代スピン/エレクトロニクスデバイスに応用可能な高機能材料の開発を考えると、分子一つ一つの磁気/電子機能を最大限に引き出せる物質系の創製が必要不可欠である。本研究では、そのような物質系の開発を目的に、高い電気伝導性や大きな比表面積などから注目を集めているナノカーボンと多核金属錯体分子(分子クラスター)からなるナノ複合体の創製を行い、蓄電デバイス(二次電池)への応用を試みた。今年度は、細孔構造を有する様々なメソポーラスカーボン(MPC)の作製とその分子クラスターナノ複合体の創製を行った。メソポーラスシリカや様々なゼオライトを鋳型とし、細孔の形状が1次元から3次元まで多岐にわたる様々なMPCの作製に成功した。このようなMPCそのもののキャパシタ特性を計測することにより、形状や表面積と電気二重層容量の関係を見出すことができ、3次元的に適切な細孔径を有するMPCがもっとも大きなキャパシタ特性を有することを明らかにした。このMPCを用いて、分子クラスターとのナノ複合化を行い、蓄電特性を検討したところ、SWNTやグラフェン複合体よりも大きな容量を得ることに成功した。MPCとのナノ複合化による蓄電機能向上の原因を探るため、独自に開発してきたin situ XAFSやin situ NMR測定を用いて詳細を調べた。その結果、ナノカーボンと分子クラスター間の電子的相互作用により、分子クラスターの還元電位は低下する一方で、大きな負電荷を有する分子クラスターに多数のLiイオンが引き寄せられるため、MPCの電気二重層キャパシタがMPCそのものよりも大きく誘起され、蓄電容量が向上していることが分かった。このように新しい炭素材料の創製とともに、電極活物質とのナノ複合化が高性能蓄電デバイスの開発に重要であることをin situ物理化学的測定手法を用いて包括的に明らかにした。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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