研究概要 |
これまでにない大きなπ共役系をもつオリゴアセンの合成戦略および合成ルートを確立し、その物性を探索する。申請者はすでに、これらの化合物の合成を念頭に置き、世界最大のオリゴアセンキノンであるノナセンキノンの合成に成功していた。申請者は、5,11,16,22位に電子求引性の置換基を導入することで、溶解性と安定性を確保し、化合物の単離・同定に至った。このノナセンキノンとアニリンとの脱水縮合によってイミンを合成し、これをヒドラジンで還元することにより濃緑色の溶液を得ることにも成功した。この合成ルートが非常に有望であることを示している。ヘプタセン以上のオリゴアセンについては、理論上、開殻系(いわゆるシングレットビラジカル)であることが予見されており、これは有機化学上の大問題である。これについて実在する分子による明確な証拠を提示することは、学術的に大変重要である。 また、縮環芳香族としてポルフィリン類の効率的な多量化合成にも成功し、その特異な光物性についても明らかにできた。
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