研究課題
当初想定していたオリゴアセンの合理的な合成ルートは、オリゴアセンキノンを前駆体として、キノン部位に置換基を導入して還元する方法である。申請者はすでに、電子求引性の置換基を効果的に導入することにより、世界最大のオリゴアセンキノンであるノナセンキノンの合成に成功している。キノンの反応性も探索しており、アニリンとの脱水縮合によってキノンジイミンを生成し、安定に単離できることを見出した。しかしながら昨年度はこれとは別法となる、ビシクロ化合物の逆ディールスーアルダー反応を利用したペンタセンダイマーの合成やパイ拡張TCNQとなるテトラシアノビスペンタセンキノジメタンの合成にも成功している。更に今年度は、偶然にもテトラセン縮環1,3-ジチオール-2-オンの加水分解によりテトラチアビステトラセンが生成することを発見し、ここから金属銅を用いた脱硫反応によるビステトラセノジチインの合成に成功した。これは2電子酸化によって形式的にはノナセンと等π構造となり、これはすなわち新規含硫黄アセンである。含窒素アセンや含ホウ素アセンは非常に活発に合成研究がなされているが、含硫黄アセンはバルクでは触媒として有能であるものの、低分子合成はこれまでほとんど研究がなされていない、未開拓領域である。これらの合成・精製手段を確立し、すべての化合物についてX線構造解析によって構造を明確にすることを目指しているが、テトラチア体、ジチア体に関しては構造解析に成功した。現在酸化種の結晶作成に挑んでいる。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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