研究課題/領域番号 |
23685031
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研究機関 | 奈良先端科学技術大学院大学 |
研究代表者 |
湯浅 順平 奈良先端科学技術大学院大学, 物質科学創成研究科, 助教 (00508054)
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キーワード | プローブ / タンパク / 構造変化 / 変性 / 時間分解 / CPL / キラリティー / 希土類錯体 |
研究概要 |
本申請研究の目的は円偏光発光(CPL)を利用して、ヒトテロメア末端で形成されるDNA四重鎖の超分子構造変化をリアルタイムに追跡することである。具体的にはグアニン四量体に相互作用した超分子発光プローブ(レポート分子)の円偏光発光(CPL)を測定する。この円偏光発光は発光プローブがキラルな超分子構造であるグアニン四量体と相互作用することで誘起される。本年度はDNA四重鎖の超分子構造変化をリアルタイムに追跡するためのプローブ開発を行なった。具体的には、亜鉛イオンと相互作用することで4量体を形成するカルバゾール誘導体の水溶化を試みた。同時にキラル物質と相互作用することで大きな左右円偏光強度差を生じることが知られているユーロピウム錯体にも着目し、DNA四重鎖と相互作用するユーロピウム錯体の合成を行なった。DNAとの相互作用部位としてビピリジン誘導体を、水溶性部位としてグリコール酸を有するユーロピウム錯体を分子設計し合成を行なった。その結果、このユーロピウム錯体が水系溶媒に対して高い溶解性を有し、水系溶媒中において高い発光量子収率を示すことを明らかにした。また円偏光発光(CPL)を測定する円偏光発光顕微鏡についても改良を行なった。具体的には溶液中でのDNA四重鎖のダイナミックな反応過程を追跡するために、円偏光発光顕微鏡にマイクロ流路系を組み合わせた測定系を構築している。この装置系の有用性を確かめるために有機溶媒中におけるキラルユーロピウム錯体の生成過程の追跡を行なっている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
円偏光を測定できる円偏光顕微分光システムが既に完成しているので、得られた希土類標識タンパクを効率良く測定することが出来る。一方で上述のように、DNA四重鎖と相互作用するプローブの水溶化が課題となる。
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今後の研究の推進方策 |
上述のように、希土類錯体の水溶化が今後の大きな課題となる。その解決策として希土類の配位子として水溶性配位子(グリコール酸)を含む錯体やπ系分子に水溶性置換基を有するプローブを分子設計し、システマテックに合成評価を行なう。
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