研究課題/領域番号 |
23685033
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研究機関 | 独立行政法人物質・材料研究機構 |
研究代表者 |
中西 尚志 独立行政法人物質・材料研究機構, その他部局等, 主幹研究員 (40391221)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 有機液体 / 発光 / レオロジー / フォトメモリ / 不揮発性 / マトリクス性能 |
研究概要 |
本研究課題では、π共役系分子を中心とする機能性部位をコアとし、中性疎水性の分岐アルキル鎖、親水性のオリゴエチレングリコール鎖などの柔軟性の高い部位を導入することで、機能性有機液体の創製を目指している。得られる液体の基礎物性を解析することで、未探索有機液体としての材料の可能性を評価すると共に、フォトニクス材料等への応用を検討する。本研究目標に向かって、これまでに青色発光性のオリゴフェニレンビニレンをコアとして分岐アルキル差の導入による青色発光液体の創製に成功、それを母液としたドーパントの取り込みからの白色発光液体の創製まで達成してきた。 平成24年度以降の展開としては、単一分子白色発光液体の創製、フルカラー発光液体材料の創製、有機半導体性液体材料の創製と光電変換型液体デバイスの創製などが挙げられる。実際には、それぞれの系に適した分子設計から取り組み、液体相挙動の解明、発光・電子機能を精査、およびプロトタイプのデバイス創製まで取り組み、新奇有機液体化学の概念を構築し、世界に発信・刺激し、新しい研究分野の立ち上げを助長したいと考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成24年度の研究計画においては、白色発光分子液体の創製を掲げていた。青色発光液体を基材として、ドーパント色素へのエネルギー移動を効率的に応用することで、白色発光液体の創製が平成23年度の研究成果として達成されていた。一方で、ドーパントを用いない白色発光液体として、イリジウム錯体をコアとする金属錯体系の液体材料を創製し、その発色性能がほぼ白色発光であることが分かった。また、親水性のオリゴエチレン鎖の導入に関しても取り組みを行っており、フタロシアニン分子側鎖に導入できることまで達成した。その他、手持ちに合成している種々の発光性液体同士を溶媒を用いずに混合することで、色むらの生じない、均質なフルカラー発光インクの創製にも成功した。また、平成25年度に取り組んだ、本年度分の研究内容としては、アントラセン部位を発光性コアとして、導入する分岐側鎖を種々変更することで、液体と固体の違いを明確に議論し、その発光性能との相関まで深く議論するに至った。 さらには、半導体性(電子アクセプター性)の有機液体材料としてフラーレン液体の開発にも取り組み、プロトタイプの太陽電池デバイスの創製まで達成できた。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度分の研究進展を反映させることで、本研究の更なる発展を試みる。具体的には、自ら開発した青色発光液体を基材に、ドーパントの効果により白色以外の発光液体を創製すること、さらには一分子白色発光液体を創製し、分子液体化学研究のプライオリティーを確保する。前者の研究展開としてはフルカラー発光液状材料の創製やそれら材料を用いたプロトタイプの発光デバイスの創製になり、これら研究計画は主に継続して平成25年度の研究として遂行された(平成25年度報告書参照)。 平成25年度で本研究課題自体は最終年度となるが、分子性の液体材料に留まらず、ポリマー材料へ本発光性コアの孤立化、液状化の戦略を展開することは可能であり、コレまでにない分子機能を最大限に発揮できるポリマー材料の創製は継続して目指していく。
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