研究概要 |
本申請研究は,イソステアリル基を疎水基とした炭化水素系界面活悸剤壷設計・合成し,それらの単独系または混合系を用いることで,(I)熱および化学安定性に優れ,従来のW/OμE系に匹敵する可溶限界量(W_0=60)以上をもつW/CO_2μEの構築,さらには(II)温和な条件(室温付近でかつ100bar程度)からの高い可溶化限界量をもつW/CO_2μEの構築を試みた。イソステアリル基を疎水基として、アニオン性、カチオン性、ノニオン性の一鎖一親水基型界面活性剤を、そして、アニオン性の二鎖一親水基型界面活性剤を合成し、それら界面活性剤単独系でのCO2中での水可溶化能力を評価した。その結果、最もよく機能したものは一鎖一親水基型のイソステアリル硫酸ナトリウム塩であり、W_0=50程度の水まで可溶化できることが分かった。しかし、その界面活性剤であっても水の可溶化には、55℃以上の高温、200bar以上の高圧力が必要であった。 フッ素フリーではないが、環境に許容される範囲内の少量のフッ化炭素(C4以下)を持ち、実用可能なレベルのW/CO2マイクロエマルションを形成できる界面活性剤の開発も重要であり、可溶化能力に及ぼすフッ化炭素鎖長の影響を検討した。フッ化炭素鎖長が2以上で、有意なマイクロエマルションの形成が可能となり、フッ化炭素鎖長が4以上で、実用量レベルであるW_0が60以上のマイクロエマルションが達成された。フッ化炭素鎖長が4以上では、形成の圧力、温度条件も穏和であり、可溶化の速度が極めて速く、数分内で可溶化が達成できていた。このことから、直鎖状のフッ化炭素を利用した場合、フッ化炭素鎖長4が、低環境負荷でありながら、実用レベルのマイクロエマルションを効率的、効果的に調製するのに最適である判断できる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成23年度に数種のイソステアリル基をもつ界面活性剤を設計、合成し,試験を行ってきたが、通常の炭化水素系界面活性剤よりもCO2に溶けやすく,水の可溶化を達成するものの、55℃以下の低温、200bar以下の低圧力からその可溶化能力を発揮させることはできていない。また、それらの可溶化能力も最高でW_0=50程度であり、性能の高いフッ素系界面活性剤ρ可溶化能力(W_0=80程度)に比べ低い。界面活性剤混合系や助溶媒添加系の検討も行っているが、それらの能力を改善する挙動は、残念ながらまだ得られていない。
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