平成24年度では、前年度に用いたイソステアリル基だけではなく、イソヘキシル(炭素数6の)やイソラウリル(炭素数12)を親CO2基とした種々の1鎖型、2鎖型、3鎖型の界面活性剤を新規に合成し、超臨界CO2中への溶解性および、超臨界CO2中での水の可溶化能力を評価した。合成した多分岐炭化水素系界面活性剤は,炭化水素系界面活性剤でありながらフッ素系界面活性剤に匹敵する水の表面長力低下効果(γcmc=25 mN/m以下)を発現し、最大で23.8 mN/mまで表面張力を低下させた。超臨界CO2中での界面活性剤の溶解度および水の可溶化能力を検討したところ、イソヘキシル基をもつ3鎖型界面活性剤が非常によくCO2中に溶解し、55℃以上かつ190bar以上で、W0=21まで水を可溶化させることが分かった。昨年度報告した最も効率的に水を可溶化させる一鎖一親水基型のイソステアリル硫酸ナトリウム塩では、その高い可溶化能力が55℃以上でかつ220bar以上の高圧力が必要であったことと比較すると、より温和な圧力で可溶化能力を発揮させる界面活性剤の開発に成功したといえる。さらには、フッ素フリーではないが、環境や社会に許容される範囲内の少量のフッ化炭素(C6以下)を1本有し、同じ長さの炭化水素鎖も同時にもつハイブリッド界面活性剤についても検討を行い、最大でW0=60程度までW/CO2マイクロエマルションを形成し、かつフッ素含有量に対して最も高い効率的で水を可溶化(フッ素原子に対し水4.7分子)させることにも成功した。 以上の成果は、過去に報告される界面活性剤に比べ、高い水可溶化能力を実現しており、圧力、温度を穏和にする点についてはまだ課題が残るものの、次世代型グリーンソルベントであるW/CO2マイクロエマルションを実用に大きく近づける成果となった。
|