研究課題
本研究では、Nano-PICsomeの技術をさらに洗練し、細胞内で作動するナノリアクターを開発し、細胞内へ適切に配置するための技術開発を実施した。具体的には、 (1)酵素封入によるナノリアクターの作製と機能確認、(2)膜の物質透過性の制御、(3)Nano-PICsomeの物性や表面へのペプチドリガンドなどの導入による細胞取り込み能制御、を行うべく、本年度は下記の項目を実施した。1. 項目(1)に関連して、シトシンデアミナーゼを封入したPICsomeが、基質である5-フルオロシトシンを、活性体である5-フルオロウラシルに変換する能力を有し、培養細胞に対して殺細胞効果を示すことを明らかにした。また、腫瘍モデルマウスを用い、皮下移植がんの成長抑制が可能であることを実証した。2. 項目(2)に関連して、PICを形成するカチオン連鎖のアルキルスペーサーの長さを変えることで、物質透過性の制御が可能であることを見出した。特に、スペーサー炭素数が4,5の場合は透過性が高く、架橋度の変化により放出速度が制御可能であった。また、温度を高めることで、放出速度が高まることも見出した。3. 項目(3)に関連して、膜修飾したベシクルの細胞取り込みとその動態を明らかにした。その結果、架橋度が低く、PIC膜内にアミノ基が残っている場合に細胞取り込みが促進され、いない場合に抑制されることが明らかとなった。一方、AFM観察から、架橋度が低い場合には球状微粒子としての自律性が低く、基板上に吸着しやすいことがわかった。これらの結果から、細胞に吸着しやすいPICsomeを設計することで、細胞取り込みが促進可能であることが示唆された。また、酸性環境にて開裂するような保護基をPIC中のアミノ基に結合したところ、酸性環境に応答して取り込みが促進されることがわかった。さらに、PICsome表面に導入した環状RGDペプチドが、培養細胞に対してのみならず、マウス体内の標的細胞に対しても機能することを確認した。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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