研究課題/領域番号 |
23685042
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研究機関 | 独立行政法人理化学研究所 |
研究代表者 |
荒岡 史人 独立行政法人理化学研究所, 創発物性科学研究センター, ユニットリーダー (10467029)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 液晶 / 有機材料光物性 / 表界面物性 / 非線形光学 |
研究概要 |
前年度である平成24年度はレーザーなどの強い光により記入ができる表示・メモリデバイスの基礎動作を確認し、ま たより良いパフォーマンス(光感度の拡大)のために表面吸着性の光応答性デンドリマーを導入することで、弱い光での記録動作を実現した。平成25年度はまず、これを論文にまとめ学術誌にて発表を行った。 液晶界面においてアンカリング転移の引き起こされる界面近傍の物理探索のため、2光子蛍光顕微鏡や第二光高調波(SHG)測定などの非線形分光法を導入し、アンカリング転移下での液晶セル中の分子配向の断面プロファイルの観察を行うことについて検討を行った。前者においては、実際に実験装置の組み立てを行い、配向変化の捉えやすいコレステリック液晶においてアンカリング転移を捉えられるかを試み、これについて国際学会にて発表を行った。現状では、配向変化自体は捉えられるものの、界面のみの情報を捉えられるほどの垂直像分解能は得られていない。このため、引き続きこうした非線形分光法の改善と検討を行い、測定を続けてゆく。 前年に引き続き行っているコレステリック液晶におけるアンカリング転移を利用した配向制御は、うまくいっていない。これは、配向転移によっては、液晶セル全体にわたった螺旋配向を回転させるほどのエネルギー的な優位性が得れていないためと予想している。一方で上記、表面吸着性の光応答性デンドリマーを添加した液晶を用いたコレステリック液晶ドロップレット(液滴)の系においては、光を照射することによる表面の配向転移と、それによる独特なパターン変化を観測した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
上記の通り、当初予定にあったコレステリック液晶におけるアンカリング転移を利用した配向制御と、それによるレーザー発振デバイスの実現については、螺旋の配向制御がが難しく未だ実現できていない。これは、コレステリック液晶の螺旋構造においては、セル全体にわたった螺旋の配向変化を均一に誘起するほど、弾性的なエネルギー優位性がないためと予想している。
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今後の研究の推進方策 |
上記の通り、当初予定していたデバイス創製としてのコレステリック液晶セルでは配向転移の制御が難しいことがわかったが、一方で「研究実績の概要」で述べたとおり、ドロップレット(液滴)における配向変化は確認できている。このため液晶セルだけではなく、こうしたドロップレットを用いてフォトニックレーザーとその制御を実現することを目指している。
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