研究課題/領域番号 |
23685050
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
青木 裕之 京都大学, 先端医工学研究ユニット, 准教授 (90343235)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 高分子ブレンド / 単一分子検出 / 高分子鎖 / 超解像 / 蛍光顕微鏡 |
研究概要 |
本研究は超解像光学顕微鏡Photo-Activated Localization Microscopy (PALM)を用いて高分子鎖一本一本のコンホメーションを直接観察し、高分子材料の物性を分子レベルで明らかにすることを目的としている。本年度は、ポリブチルメタクリレート(PBMA)を用いたせん断変形下における高分子鎖のコンホメーション変化について検討した。PALM観察で用いられるフォトクロミック色素であるローダミンスピロアミドでラベルされたPBMAを、ラベルしていないPBMAに微量混合することで試料フィルムを作製した。これにせん断変形を与え、フィルム中央付近の鎖についてコンホメーションを評価した。その結果、せん断変形過程におけるコンホメーションの分布関数は、アフィン変形を仮定した理論曲線ともよく一致し、分子レベルの形態変化がフィルム全体のマクロな変形プロファイルと相似的であることを明らかにした。一方で、これまでに使用してきたPALMを改良することで深さ方向の測定範囲を広げる試みを行った。超短パルスレーザーを用いた多光子励起光源を導入することで、特定の深さのみの励起・観察を可能にすることで、マイクロメートルオーダーの厚さの試料についても観察を可能にすることを目指した。ガルバノミラーにより集光したパルスレーザーを高速に走査することで、多光子励起によるPALM測定を可能とした。しかし1フレームの測定時間に1秒の時間を要し、効率的なPALM観察が難しく、さらなる高速化が必須であることが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
顕微鏡の高性能化に関する進展はあまり見られなかったものの、当初の計画であるせん断変形下におけるコンホメーション解析を完了できたため、概ね計画通りに進行していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
高分子鎖のコンホメーション変化の動的過程について評価を行うとともに、ブレンド系への展開を行う。顕微鏡開発においては、ミラー走査による多光子励起は効果的でなかったため、回折格子を使用した多光子励起法の導入を試みる。
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