研究課題/領域番号 |
23686004
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
石川 史太郎 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (60456994)
|
研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2014-03-31
|
キーワード | 化合物半導体 / ナノワイヤ / 分子線エピタキシー / 希釈窒化物半導体 / デルタドーピング / フォトニック結晶 |
研究概要 |
目的の誘電体ロッド型-ナノワイヤフォトニック構造作製手法の確立と、実験・計算両面からのTM偏光源導入型フォトニック結晶デバイス実現の可能性を検討した。 1.分子線エピタキシー結晶成長:(1)デルタドープ手法によるGaAsへの超極所窒素添加手法について検討し、積層構造においてはそれぞれの層間の電子波動関数の相互作用により、ミニバンドが形成されることを見出した。また、積層数の制御によって光学遷移エネルギーが制御できることを確認した。さらに、低温成長を用いることで、導入窒素の成長方向への広がりをほぼ単原子層レベルまで抑制した。(2)Si基板上GaAsNナノワイヤの分子線エピタキシー成長においては、垂直方向に配向したコアーシェル型ナノワイヤの作製に成功した。3μm以上の長さを有するワイヤの直径は350nmで非常に均質であり、全体を通して長さ方向に良好な直線性を持ち、断面はファセットを示す六角形であった。室温カソードルミネッセンス像では、明瞭なナノワイヤからの発光が確認された。さらに、窒素を0.3%までGaAsへ導入することで、発光ピーク位置を870nmから930nmまで制御した。またその発光強度は、窒素導入前後で大きく変化せず、GaAsとほぼ同等であった。 2.フォトニック結晶展開:伸張歪型GaInNAs活性層と下部AlGaAsクラッドを有する特殊試料表面にロッド型フォトニック結晶を導入した試料を作製し、その特性を調べた。フォトニック結晶は、周期を変化させることでフォトニックバンドギャップエネルギーを制御し、観測される発光強度からその影響を調べた。その結果、TMモードのフォトニックバンドギャップ中に発光スペクトルが位置する領域では、発光強度の増強が観測され、同手法によるフォトニック結晶デバイス実現の可能性を示した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本年度得られた以下2点の成果は、それぞれこれまで報告の無い画期的な結果である。それに伴い招待講演発表も国内外で2件発表することが出来、想定以上の成果を対外発表することが出来たと言える。 1. 希釈窒化物半導体GaAsN/GaAsコアシェル型ナノワイヤの結晶成長に成功:Si基板上GaAsNナノワイヤの分子線エピタキシー成長においては、垂直方向に配向したコアーシェル型ナノワイヤの作製に成功した。3μm以上の長さを有するワイヤの直径は350nmで非常に均質であり、全体を通して長さ方向に良好な直線性を持ち、断面はファセットを示す六角形であった。室温カソードルミネッセンス像では、明瞭なナノワイヤからの発光が確認された。さらに、窒素を0.3%までGaAsへ導入することで、発光ピーク位置を870nmから930nmまで制御した.またその発光強度は、窒素導入前後で大きく変化せず、GaAsとほぼ同等であった。 2.伸張歪型希釈窒化物半導体のフォトニック結晶デバイス応用への展開を拓く:伸張歪型GaInNAs活性層と下部AlGaAsクラッドを有する特殊試料表面にロッド型フォトニック結晶を導入した試料を作製し、その特性を調べた。フォトニック結晶は、周期を変化させることでフォトニックバンドギャップエネルギーを制御し、観測される発光強度からその影響を調べた。その結果、TMモードのフォトニックバンドギャップ中に発光スペクトルが位置する領域では、発光強度の増強が観測され、同手法によるフォトニック結晶デバイス実現の可能性を示した。
|
今後の研究の推進方策 |
結晶成長においては、これまで世界に先駆けて希釈窒化物半導体ナノワイヤ分子線エピタキシー結晶成長に成功した。本結果を誘電体ロッドフォトニック結晶へ有効に結びつけるため、選択成長を用いたワイヤ発生位置および構造の制御を行う。これにより、ボトムアップ手法で実現する超高品質結晶フォトニック結晶材料作製技術を確立する。また、実際のデバイス応用を見据え、具体的なデバイス構造の理論検討を並行して行う。ここまでに得られたフォトニック結晶バンド構造および電磁界分布計算を発展させるとともに、前述のナノワイヤ作製技術を融合させる。これを以て、新概念半導体フォトニック結晶レーザーの提案と、実現のため基盤技術を確立する。
|