研究課題
本研究の目的は研究代表者のグループが長年培ってきたナノスケール電気伝導測定技術を拡張し、スピン偏極走査トンネル顕微鏡を新たに建設して微小領域の電位分布測定が可能なポテンショメトリ測定を行い、表面ラシュバ系の電場誘起のスピン依存伝導現象を検出することである。最終年度の平成25年度は次の2つのことを行った。1.前年度までに作成した超高真空、低温、強磁場下で動作する走査トンネル顕微鏡(STM)を用いてAg(111)上の多層シリセンの構造観察を行った。その結果、シリセンのドメインはせいぜい100nm四方であり、広域のドメインを作るのが困難であることが分かった。さらにシリコンの蒸着量を増やすと何故か基板のAg(111)の領域も増えることが分かった。低速電子線回折を用いた構造解析により、これはシリコンの蒸着量が増えるとダイヤモンド構造が形成され、その最表面にSi(111)r3xr3-Ag構造が形成されていることが明らかになった。2.走査トンネルポテンショメトリ(STP)測定用の回路を新たに作成し、これをSTM装置に組み込んだ。これによって電流印加時に局所電位測定ができることになり、ナノスケールにおける伝導現象を議論できるようになる。Si(111)表面上に作成できるBi(111)超薄膜に対してSTP測定を行い、回路が間違いなく動作していることを確認した。またドメイン境界ではエッジ状態に起因すると見られる異常も発見され、今後この起源に関して詳細に検討していく。上記成果により論文を5本出版し、4件の招待講演を行った。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2014 2013
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件) 学会発表 (17件) (うち招待講演 4件)
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