研究課題/領域番号 |
23686011
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
藤村 隆史 東京工業大学, 大学院・総合理工学研究科, 助教 (50361647)
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キーワード | フォトリフラクティブ効果 / 窒化物結晶 / ホログラム記録材料 |
研究概要 |
本研究の目的は、ワイドバンドギャップ半導体結晶を用いて従来のフォトリフラクティブ材料では、両立することができなかった高い記録感度とメモリー性を併せ持つ新しいホログラム記録材料を開発することにある。 本研究では特に、我々がこれまで行ってきたGaN結晶、AIN結晶におけるフォトリフラクティブ効果の研究をさらに進め、フォトリフラクティブモデルの解明および、メモリー性能の改善に有効な添加イオンの探索を行うことを本研究の研究課題としている。 本年度はAIN結晶におけるフォトリフラクティブ特性を反射型二光波混合実験により評価した。特にAIN結晶の本来の感度波長域と思われる深紫外領域においてホログラム記録特性を評価すべく、HeCdレーザー(発振波長:325nm)を購入し、既存の405nm用の測定光学系を深紫外用に組み替えた。過去に評価を行った波長405nmでは、誘起された屈折率変調の大きさの指標であるゲイン係数がかなり大きな光強度にも強く依存するという結果が得られていたが、波長325nmにおいても同様の傾向が観測され、光強度I=1W/cm2でゲイン係数Γn=0.06cm-1であったものがI=2.5W/cm2ではΓn=0.11cm-1とほぼ光強度に比例するという結果が得られた。しかしゲイン係数の絶対値で比較をすると、波長325nmでのゲイン係数は波長405nmのそれと比べて3分の1程度の大きさしかなく、このゲイン係数減少の原因は依然不明のままである。また一方で時定数に関しては、波長405nmではI=1W/cm2で時定数τn=59msという非常に遅い応答時間しか得られていなかったが、短波長化によって時定数はτn=0.2msと100分の1以下に短縮された。反射型配置に起因する小さな格子間隔(約100nm)を考慮すれば、この応答速度は、他の半導体結晶と比べても非常に高速であり、AIN結晶は深紫外の波長帯で我々が目指す高感度ホログラム記録材料として非常に有望であるということを示すことができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の計画通り、AIN結晶におけるフォトリフラクティブ特性を深紫外領域において評価することができたが、研究開始時期の遅れ、実験装置の納品の遅れ、研究代表者の異動などにより、当初計画していたAIN結晶におけるフォトリフラクティブモデルをまだ決定するに至っていない。しかし24年度の研究計画の内容と平行して進めることで十分取り戻せる遅れであると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
当初計画していたGaN結晶におけるメモリー性及びフォトリフラクティブ特性の改善に有効な添加イオンの探索と評価を予定通り行いつつ、同時に平行してAIN結晶におけるフォトリフラクティブモデルの解明のための実験を進める。
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