研究課題/領域番号 |
23686019
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
大西 立顕 東京大学, 情報理工学(系)研究科, 准教授 (10376387)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 不動産市場 / 不動産バブル / ベキ分布 / 正規分布 / 超並列計算 / 金融緩和 / 経済物理学 / 社会物理学 |
研究実績の概要 |
中古マンションの売買データをもとに,不動産価格のばらつきを統計的に解析した.正常な価格分布から外れる高額不動産の発生具合から同一需給圏の大きさを推定する手法を改良し,関東地域のバブル度を測る指数を開発した.指数は,不動産バブルといわれる1980年代後半~1990年代前半には恒常的にバブルの状態を示し,その後,2012年前半までは平常時の状態を示した.平常時の状態からバブルの状態に変化し,その後,平常時の状態に戻るという相転移挙動を定量的に捉えることができた.バブルが発生し,伝播・波及し,崩壊していく過程におけるバブルの空間的な時間変動も定量化した.1988年頃に都心で発生したバブルは,都心の南西部へ波及し,1992年にバブルの度合いが一番強い状態になり,その後,都心の南西部からバブルが終息し,1998年にはバブルが消失する様子が観測できた.また,安倍政権が誕生する2012年後半になると指数に再び変化が現れ,直近の指数の動きはバブル前夜の1988年ごろとよく似ていることが分かった.要因の一つとして,アベノミクスによる金融緩和が不動産市場に影響を与えていることが考えられる.そこで,金融緩和が市場に与える効果を検討するために,国債市場についての調査を行った.また,開発したバブルの定量化手法を株式市場におけるバブル現象や流行現象に応用するために,ニュースの話題性や新規性を定量化する方法を検討し,短時間スケールでのニュースと株価変動との関係についての解析も進めた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
超並列計算を活用して大規模な中古マンションの売買データを解析することで,平常時の状態とバブルの状態の相転移挙動を定量化することができた.不動産バブルの特徴的な現象を発見し,不動産のバブル指標を開発することができた.
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今後の研究の推進方策 |
バブル指標をリアルタイムに算出する手法を検討し,市場をリアルタイムにモニターし,現状を精確に把握してリスクを早期に発見することを目指す.様々な大規模経済データへの適用を試みる.
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