研究課題
本研究では,様々な水素脆化機構の競合の結果,最終的な破壊形態が材料/力学/環境因子によってどのように決定されるのかを,電子・原子レベルのシミュレーション手法を駆使するとともに,水素脆化関連実験も併せて行うことにより解明し,水素関連機器の安全設計に資することを最終到達目標としている.本年度は〔1〕解析的な検討と〔2〕実験的な検討に関して以下の成果が得られた.〔1〕解析的研究:前年度までに開発を行ってきた第一原理的に平衡水素濃度と平衡空孔濃度を評価する手法を発展させ,応力作用下での評価を可能とした.これによって,き裂前方などの極めて高い静水応力が作用する局所領域での水素-原子空孔複合体の存在状態が明らかになった.また,金属の表面に吸着した水素が誘起する転位運動について,分子動力学法を用いて検討を行った.その結果,水素の有無によって転位の安定配置が変化し,その影響は薄膜において顕著に生じることを明らかにした.〔2〕実験的研究:水素チャージ条件を変更することで水素濃度の異なる試験片(炭素鋼S25C)を作成し,それらに対して低ひずみ速度引張試験を行った.この過程での変形状態を,デジタル画像相関法を用いて可視化することで,塑性変形の拡がり/局所化挙動に及ぼす水素濃度の影響を明らかにした.また,炭素濃度の異なる材料(S15CとS55C)に対しても同様の試験を実施し,炭素濃度の影響についても評価した.また,前年度までに得られていた結果と総合して,様々な条件で発現する水素脆化機構について総合的な検討を行った.
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (7件) (うち査読あり 7件、 謝辞記載あり 4件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (10件) (うち招待講演 2件) 備考 (2件)
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