研究概要 |
平成25年度は、平成24年度に引き続きネガ型電子ビーム露光用レジストであるXR-1541(Dow Corning Co.)を用いてガラス基板上にナノパターンを形成し、金を10 nmスパッタリングにより成膜することにより金ナノ構造フォトマスク基板を高精度に作製した。作製した金ナノ構造体基板上に、原子層堆積装置を用いて厚さ1 nmの酸化アルミナ膜を成膜した。作製したフォトマスク基板とフォトレジスト基板を用いて電磁場解析を行い、近接場の光電場強度分布を確認したところ、フォトマスク基板とレジスト基板の間に1 nmの誘電体層が存在しても、フォトレジスト膜中の近接場分布に大きな影響がない(ほとんど変化がない)ことを明らかにした。そこで、作製したフォトマスク基板とレジスト基板を用いて、中心波長800 nmのフェムト秒レーザー(f: 80 MHz, τ: 100 fs, 50 W/cm2)を1秒間照射し、現像を行ったところ、幅5 nm長さ1 μmピッチ20 nmのラインアンドスペースパターンがフォトレジスト基板上に形成可能であることを走査型電子顕微鏡観察により明らかにすることに成功した。これらの結果から、まだプリミティブで基礎的な研究の段階であるが10 nm-nodeに向けた非接触リソグラフィー技術をデモンストレーションすることに成功した。一方、プラズモンの散乱成分の光を利用した伝搬光による露光技術では、新たに偏光露光光学系を構築し、種々の形状のナノパターンを高精度に作製する技術を確立した。近接場露光においては奥行き方向の露光は困難でパターンのアスペクト比が小さいが、伝搬光による露光は、レジストの奥行き方向においても露光が進行し、高いアスペクト比のナノパターンを作製可能であることから、今後の展開が期待される。
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