本研究では,量子・分子流体科学の分野において独創技術の提案と基礎研究を行った.一つに,局所破断面に見られる微細流路に生じるイオンと分子の流動現象の計測と理論的検証を行った.局所的にイオンが遍在することが実現されれば,2 V程度の印加電圧で生じる弱い電場でも電気流体力学的流れが生成することが見出された.一方,化学反応系に見られる分子運動に伴う電荷移動の効果を分子流体力学に考慮するため,分子軌道に基づく電子波動関数の時間発展を試み,計算効率の改善について考察した.さらに,対称性を考慮することによるBurnsideの補題に基づいた状態数の数え上げに着目し,量子分子動力学法への適用を検討した.
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