研究課題/領域番号 |
23686046
|
研究機関 | 横浜国立大学 |
研究代表者 |
下野 誠通 横浜国立大学, 工学研究院, 助教 (90513292)
|
キーワード | ハプティクス / モーションコントロール / 制御工学 / 電気機器工学 / 低侵襲性外科手術 / 触覚伝達 / バイラテラル制御 / メカトロニクス |
研究概要 |
本研究は、低侵襲性外科手術の高度なトレーニングが実行可能な手術シミュレータを実現するための、触覚フィードバック機能を有する多自由度鉗子型インタフェースと、その運動制御技術の開発を目的としている。平成23年度においては主として次のような成果を得た。 1.鉗子把持と鉗子直動の二つの運動機能を有するマルチ駆動マスタ・スレーブ一体型二自由度ハプティック鉗子を新たに試作開発した。本試作機の設計開発が順調に進んだため、次年度に実施予定であった動作性能評価試験を前倒しして本年度に実施した。そして、スケーリング項を導入した機能に基づくバイラテラル制御手法を試作機に実装することで、特定の機能のみを増幅し発現できることを実験的に明らかにした。結果として、鉗子という道具の高機能化を実現した。これらの評価実験を通して、触覚フィードバック特性を損なうことなくさらなる多自由度化を実現するためには、新しいアクチュエーション技術の開発研究が不可欠であるとの認識に至ったため、次年度より実施することとした。 2.ハプティックシステムを人間が操作することにより取得した運動情報から、並列多自由度システムのアクチューエータ配置を推定する手法を確立した。また、並列多自由度マスタ・スレーブシステムを用いた実験により、その有効性を明らかにした。結果として、人間の手指動作を独立な運動モード情報へ分解する理論と組み合わせることにより、アクチュエータ配置が未知の並列多自由度ハプティックシステムを操作する手指動作を独立な運動モードへと分解し、定量的な動作解析を行うことが可能となった。 上記を含む本年度の研究成果については、1編の査読付き学術論文誌論文、5編の査読付き国際会議発表論文、9編の査読無し国内会議発表論文、1件の招待講演として広く公表し、成果の還元に努めた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
鉗子型ハプティックシステム試作機の設計開発が当初の計画以上に順調に進んだため、次年度に実施予定であった動作性能評価試験を前倒しして本年度に実施することができた。この評価試験結果を受け、鉗子型ハプティックシステムのさらなる多自由度化を実現するために必要な、新しいアクチュエーション技術の開発目標を明確化することができ、次年度以降の開発研究内容をより一層具体化することができた。
|
今後の研究の推進方策 |
本年度に試作した鉗子型ハプティックシステムを用いた動作性能評価試験より、触覚フィードバック特性を損なうことなくさらなる多自由度化を実現するためには、新しいアクチュエーション技術の開発が必要であることが明らかになった。そこで、平成24年度においてはアクチュエーション技術研究を当初の研究計画内容と併せて実施することとし、電気機器工学に精通する研究協力者からの技術協力を得ながら新しいアクチュエータの試作開発を行う。また、アクチュエータ試作機の動作確認実験を実施するために、試験装置も試作する。これらの実験結果を通して得られた知見を、平成25年度に試作する多自由度鉗子型ハプティックシステムの機構設計へと反映させる。
|