研究課題/領域番号 |
23686047
|
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
遠藤 恭 東北大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (50335379)
|
キーワード | 微小磁性体 / スピン / 高周波磁界応答 / コプレーナ伝送線路 / MFM用探針 / 振幅変調 |
研究概要 |
本研究課題ではGHz帯における新規高周波スピン計測技術を確立し、その計測技術を用いて微小磁性体におけるスピンの高周波磁界応答を解明する。得られた知見と元にして、微小磁性体からなる新規スピン機能素子の創製を目指す。本年度は以下の事項を検討した。 (1)高周波スピン計測技術の構築とその妥当性: 線路幅3μmの信号線を有するコプレーナ伝送線路(CPW)を作製し、そのCPWに2台の高周波信号発生器(SG)を用いて高周波プローブを介して振幅変調波信号を入力し、CPW上で発生する3GHz帯域の高周波電磁界を幅方向100nm、高さ方向50nm間隔で、CoCrPtからなる磁気力顕微鏡(MFM)用探針により検出できることを明確にした。また、CPW上で発生する3GHz以上の高周波電磁界に関しては、CPWのインピーダンス不整合により探針による検出感度が低下することがわかった。この結果から、CoCrPtからなるMFM用探針を高周波電磁界検出センサに、2台のSGを、搬送波と変調波を組み合わせた振幅変調波合成器として利用し、GHz帯での高周波電磁界の検出が可能な振幅変調型の計測技術を確立した。 (2)微小磁性体におけるスピンの高周波磁界応答の評価: サイズの異なるNiFe矩形ドット列(長軸と短軸の比が2:1、長軸:500-5000nm、短軸:250-2500nm)を作製し、無磁界中での静磁気特性をMFMにより確認した結果、長軸長の減少にともない、多磁区構造から閉磁路構造へ遷移していることがわかった。また、作製したドット列の動的磁気特性についてCPWを用いた強磁性共鳴測定を行った結果、サイズの減少にともない、ダンピング定数が反磁界の影響により増大することがわかった。これらの結果から、サブミクロンサイズ程度の微小磁性体における磁気特性の基礎データを得ることができた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度の研究計画の通り、GHz帯での振幅変調方式によりMFM用探針により高周波近傍電磁界を検出可能であることを見出したことと、微小磁性体に関する動的磁気特性の基礎データの蓄積ができたことがあげられる。
|
今後の研究の推進方策 |
おおむね順調に進展しているので、次年度も引き続き、振幅変調方式による高周波スピン計測技術の要素技術を開発し、その妥当性を検討する。また、微小磁性体におけるスピンの高周波磁界応答の基礎検討を行い、計測技術との組み合わせによるデータの蓄積を行う。
|