研究課題/領域番号 |
23686049
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
中根 了昌 東京大学, 大学院・工学系研究科, 特任講師 (50422332)
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キーワード | 結晶成長 / 電子・電気材料 / 電子デバイス・機器 / 量子閉じ込め |
研究概要 |
本研究での目標であるスピンフィルター磁性ヘテロ構造を創製するために、Si基板上にエピタキシャル薄膜を作製することがその基盤となる。今年度はその項目についておこなった。 Si(001)基板上へのヘテロ構造の結晶成長には、超高真空装置にて電子ビーム(EB)蒸着法、スパッタ蒸着法、パルスレーザー堆積(PLD)法を用いた。それぞれの材料などによって最適な蒸着法を探求する。成長中の高速反射電子回折(RHEED)観察と成長後の原子間力顕微鏡(AFM)像により、成長方位、成長様式などの評価をおこない、エピタキシャル結晶成長の最適化を行う必要がある。結晶成長パラメーターの主なものは、成長中の基板温度、成長レート、成長中の雰囲気である。 今年度は、他のグループにてエピタキシャル成長の報告のあるMgAl204やγ-A1203といった非磁性絶縁膜をSi基板上に成長することを試みた。使用した機器はEB蒸着法とスパッタ蒸着法である。RHEEDでは膜厚の増加と共にSi基板のパターンが弱くなることが観察され、またAFMによる表面観察ではピンホールなどのない非常に平坦な連続薄膜であることがわかった。XPSによってSiが酸化されていないことが確認され、急峻な界面であることが予想された。しかしながら様々な測定結果から、成長した薄膜はアモルファスであることが推測された。また、化学量論比の著しいずれが見られたため、結晶成長の方法などを変更しておこなう必要があると結論した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
該当年度の電力事情などがあり、実験の実施時間等に制限が大きく掛かったこと。
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今後の研究の推進方策 |
これまではSi(001)基板上への成長を試みていたが、まずはこれよりも比較的容易と考えられるSi(111)基板をもちいてエピタキシャル成長を試みる。これらに加え、反応性の結晶成長、固相成長によるテンプレート層の作製などを試行してみる。また、これまでおこなっていなかったPLD法によっても試行する。
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