研究課題
若手研究(A)
本研究は、ディジタル変調信号のピーク電力の変動に起因するパワーアンプの効率および伝送レートの限界を明らかにする基礎理論の構築、およびその理論限界を達成する通信方式の設計手法の導出により、厳しい周波数帯域制限下において大容量かつ省エネルギーを実現する先進的通信システムを創出することを目的とする。平成23年度(初年度)は、当初の研究実施計画に忠実に従い、各種変調信号に対するA級およびB級動作のパワーアンプの平均効率の理論解析を行うことにより、変調方式に対する歪みと効率のトレードオフについて明らかにした。さらに、最新の携帯通信規格の上り回線の通信方式として採用されているシングルキャリアFDMA方式に着目し、その信号の瞬時電力分布およびピーク対平均電力比の理論導出を行い、同方式が有する電力効率問題について定量的に明らかにした。現在、同方式に対してもピーク電力を低減して電力効率を著しく改善し得る信号処理手法の検討を行っている。またこれらに加え、複数の送受信アンテナを用いて周波数利用効率を改善するMIMO通信システムの今後の普及も鑑み、MIMO受信回路の計算量削減アルゴリズムについての提案も行った。これらの成果の一部は既に国際会議において発表済み、あるいは採択決定済みである。またIEEEを中心とした論文誌への投稿も行っており、一部は既に採択されるに至っている。
1: 当初の計画以上に進展している
計画時の主要テーマであった電力効率の理論解析については計画通り実施しており、当該年度内に国際学会において発表を行っている。シングルキャリアFDMA方式への拡張やMIMO通信路に対するアルゴリズムの考案等は、当初は計画していなかった新たな課題および成果であり、これらを踏まえて当初の計画以上に進展していると評価した。
これまでは帯域制限された変調信号の電力効率問題を理論的に解析することが主であったが、計画書で示したとおり、今後はこの問題を解決するためのより高度な課題に取り組み、一層の研究成果を上げ、優れた国際会議および著名な論文誌上でそれらを発表する予定である。
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すべて 雑誌論文 (7件) (うち査読あり 7件) 学会発表 (14件) 備考 (1件)
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