研究課題
本研究の目的は、周波数帯域制限下でのディジタル変調信号のピーク電力の変動および伝送レートの限界を明らかにする基礎理論を構築し、それに基づき周波数利用とパワーアンプの双方の高効率化を実現する先進的な大容量・省エネルギー通信システムを創出することにある。本年度は、研究計画に従い通信システムの瞬時電力分布と電力増幅器の効率および歪みの関係を理論的に解析し、ピーク電力低減を行わない各種の通信方式において、理想的なA級およびB級電力増幅器を用いた場合の効率の理論限界、および歪みとのトレードオフを定量的に示した。また、第四世代の携帯無線システムの変調方式として採用されているシングルキャリアFDMA方式の瞬時電力分布およびピーク対平均電力比の理論解析を行った。さらに、本研究者が提案しているトレリスシェイピング技術に基づくOFDM信号のピーク電力低減方式の実用性を検証するため、提案手法にビットインタリーブ符号化変調(BICM)を組み合わせたOFDMシステムを設計し、その周波数選択性伝搬路における有効性を計算機シミュレーションにより明らかにした。これらの成果は、国際的に評価の高いIEEEの論文誌および国際会議において採択されるに至っている。
1: 当初の計画以上に進展している
計画通りに変調方式と電力増幅器の効率を明らかとしたのみでなく、トレリスシェイピングを施したOFDM方式と符号化変調方式との組み合わせを提案し、それらの有効性を示したことは当初の計画を超えた内容であり、想定以上に進展しているといえる。
今後は、当初の研究計画に従い、ピーク電力低減手法の導入により達成可能な電力効率の理論限界の導出に挑戦するとともに、より現実的な無線通信環境でそれらの有効性を示す予定である。また、一連の研究成果をこれまでと同様に、国際的な評価の高いIEEE論文誌およびICC, GLOBECOM, ISITなどの国際会議で発表していく予定である。
すべて 2013 2012
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件) 学会発表 (5件) (うち招待講演 1件)
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