研究課題/領域番号 |
23686061
|
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
長谷川 英之 東北大学, その他の研究科, 准教授 (00344698)
|
研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2014-03-31
|
キーワード | 超音波 / 高時間分解能 / 並列ビーム形成 / 心血管系 / 動態計測 |
研究概要 |
本研究では,心臓の電気的興奮による心筋の収縮の伝播現象などを従来にない高精度で捉えることを目指し,心臓を数百Hzの高時間分解能で超音波イメージングする手法を開発するとともに,そのイメージング手法を実現するシステムを構築する.本年度も引き続き(1)心臓の高速超音波イメージング法の開発,および(2)高速超音波イメージングシステムの開発を行った.(1)については,前年度に送信に用いる球面拡散ビームの最適化を行い,受信において並列ビーム形成を行うことで300 Hz以上の高フレームレート計測が可能であることを示したが,送信に拡散ビームを用いるためサイドローブレベルが上昇し,それによる不要エコーが増加するという問題があった.そこで,超音波プローブ(96素子から構成)で受信した各素子の信号間のコヒーレンスを評価し,それによる重み付けを行うことによりサイドローブレベルを従来法よりも低減できる手法を開発し,従来の超音波断層像と同等の画質を保ちながら高時間分解能化を実現することに成功した.(2)については,前年度に開発した96チャンネル超音波送受信ユニットにより計測される,超音波プローブ各素子で受信された信号の処理を行う信号処理ユニットを開発した.超音波送受信ユニットと信号処理ユニットを接続して超音波送受信のテストを行い,超音波送受信ユニットで送受信した超音波信号を信号処理ユニットに転送して表示することが可能であることを確認した.本システムに超音波信号処理アルゴリズムを組み込むことで,数Hzから30 Hz程度のフレームレートで断層像をリアルタイム表示しながら,数百Hzの高フレームレートで計測した超音波プローブの各素子で受信した信号をシステムのハードディスクに保存することが可能となる.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
心臓について,従来の超音波断層像と同等の画質を保ちながらはるかに高時間分解能を実現するために必要な,球面拡散ビーム使用時のサイドローブなどによる不要エコーを低減する手法を開発することに成功した.また,高速イメージング法を実装するための信号処理ユニットの開発を行い,完成させることができた.完成させた信号処理ユニットは,前年度に構築した超音波送受信ユニットと接続して動作テストを行い,動作確認を行い,問題なく動作することを確認している.このように本年度予定していた高速超音波イメージングシステムのハードウエアの構築を完了させたことから,順調に進展していると言える.
|
今後の研究の推進方策 |
今後は,完成させた高速超音波イメージングシステムハードウエアについて,超音波送信時に超音波プローブに印加する励起信号波形の設定や送受信アンプのゲイン設定など,超音波送受信に関するシステムのパラメータについて最適化を行う.また,完成させた高速超音波イメージングシステムハードウエアにより得られる超音波受信信号から超音波断層像を構築するためにこれまで開発してきた高速超音波イメージング法をシステムに実装するためのアルゴリズムの開発を行う.また,高速超音波イメージングシステムにより高時間分解能で得られる超音波信号に動態計測法を適用し,生体計測における本システムの有用性について検討を行う.
|