研究概要 |
ポリビニルアミン(poly-VAm)を用いて3次元的なセンサ表面を作製した. 抗トリニトロトルエン(TNT)抗体の結合量は従来の5倍程度になったが非特異吸着を起こすことが分かった. ウシ血清アルブミンとリゾチームの吸着実験からセンサ表面はプラスに帯電していることが分かった. 帯電の原因はポリビニルアミンの未反応のアミノ基だと考えられ, 作製時のポリビニルホルムアミドの加水分解率を減少させることで未反応アミノ基を減らし帯電の抑制を試みた. その結果, 加水分解率の低いポリマー(poly-(VAm-co-NVF))で非特異吸着を抑制できることが分かった. 加水分解率23%のポリビニルアミンを用いてセンサ表面を作製しTNT濃度を測定した. その結果, 高感度な測定ができ, 検出限界は28 pptとなった. 抗原応答性ハイドロゲル形成のため,poly-VAmのアミノ基をカルボキシル基に変換する条件の検討を行った.その結果,無水コハク酸を用いてpoly-VAmのアミノ基をカルボキシル基に変換,抗体の固定化が可能となった.表面プラズモン共鳴センサにより,ポリマーへの抗体の結合が確認できた. SPRセンサ表面にハイドロゲルを形成する新規な手法として,表面開始原子移動ラジカル重合(SI-ATRP)の適用を試みた.複数種のモノマーを用いて非特異的な相互作用の少ない表面を作製することができた. センサ応用を目的として,SPRセンサにより,爆薬のRDX,催涙剤として用いられるカプサイシンの測定を試みた.間接競合阻害法により,それぞれ,検出限界は40 ppt,150 ppbとなった.また,小反芻獣疫ウイルスや抗生物質であるシプロフロキサシンの検出についても検討した.
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