研究課題/領域番号 |
23686064
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
安 台浩 東京大学, 生産技術研究所, 准教授 (20520191)
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キーワード | ひび割れ / 自己治癒 / 無機系材料 / 塗布工法 / 充填工法 / 充填・塗布工法 / 止水性 / ひび割れ補修 |
研究概要 |
本研究では、現在提案されている多くのひび割れ補修方法のうち、コンクリートのひび割れ自己治癒に効果があると期待される組成物に着目し、そのセメント化学反応機構をひび割れ補修材に応用することで、コンクリート構造物の長期的な信頼性を向上させることを目的としている。1次年度には、地下トンネル構造物のひび割れ補修方法及び橋梁床板のひび割れ補修方法を検討した。無機系材料を用いつつ、無機系補修材料にひび割れ追従性を付与することができれば、ひび割れ追従性と長期信頼性を兼ね備えた新たな補修工法になり得ると考えた。まず補修材のひび割れ自己治癒メカニズムの究明と生成物の化学分析を追加で行った。本研究で検討した補修方法は塗布工法、充填工法、充填・塗布工法3種類である。実験室では、道路橋や鉄道高架橋などの床版張出部に発生する鉛直方向に貫通したひび割れを想定して、円柱供試体にひび割れを導入した上で、一度ひび割れ補修を行った供試体に再度ひび割れを導入し通水試験を行うことで漏水量を確認した。このような結果より、ひび割れ自己治癒技術を応用した補修材料を使用し、塗布工法と充填工法を併用することで、ひび割れ補修における高い止水性能が発現することを確認した。さらに、橋梁床板の現地調社で移動型蛍光 X-線分析装置を用いて ひび割れ部位の2次生成物の分析も行った。上記の室内試験により性能確認を行った自己治癒技術を応用した補修材料を用いて現場施工試験を行った。実際にひび割れ部からの漏水が生じる構造物に対して,塗布工法と充填・塗布工法によりひび割れ漏水補修を行った。今回試験施工を行った箇所は、スラブの張り出し部で、ひび割れの長さは3m程度である。また、提案手法を実構造物に適用し、施工後3ヶ月の効果を確認した。今後、経過観察を継続する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コンクリートのひび割れ自己治癒に効果があると期待される組成物に着目し、そのセメント化学反応機構をひび割れ補修材に応用することで、コンクリート構造物の長期的な信頼性を向上させることを目的としている。現在ひび割れ自己治癒の組成物の開発は90%です。自己治癒に効果があるひび割れ補修材は70%です。 以後本材料を実構造物に継続的に適用する予定である。試験施工は 60%進行されている。
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今後の研究の推進方策 |
ひび割れ部からの漏水が生じる実構造物に対して,塗布工法と充填・塗布工法によりひび割れ漏水補修を継続的に試験施工する。今回試験施工を行った箇所は、スラブ以外にも建築構造物の地下漏水部位等に適用する予定である.
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