研究課題/領域番号 |
23686069
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
鯉渕 幸生 東京大学, 新領域創成科学研究科, 准教授 (60349800)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 栄養塩 / 自動連続モニタリング / 物質循環 / 東京湾 / 窒素 / リン |
研究概要 |
本研究では、新たな水中設置型の小型栄養塩測定システムを開発し、これにより栄養塩を高い頻度で連続測定することを可能にし、これを流速や水質のモニタリングシステムと組み合わて運用することで、河川からの急激な栄養塩の流入過程や底泥からの栄養塩の溶出を明らかにし、内湾の水質変動と栄養塩の変動メカニズムを解明して、東京湾のような内湾における栄養塩循環を明らかにすることを目的としている。詳細な栄養塩フラックスの定量化のために、開発した栄養塩測定システムを東京湾の台場保安部桟橋に設置して、現在も沿岸域のモニタリングを継続中である。 現地測定においては、降雨時のイベント的な輸送を捉えるために、1時間間隔で、モニタリングを実施した。測定項目は、HADCPを用いた流速・音波強度によるSS推定、これらを補うため、YSI6600等により、クロロフィル蛍光・濁度・DO・水温・塩分等を測定した。 また、それらを補足するために2週間に一回程度の観測を年間数回行い、濁度や栄養塩の関係式を作成した。観測は現在も継続中である。昨年度は3月11日の津波により観測機器が被害を受け、復旧に時間を要したものの現在は完全に復旧しデータの蓄積を行っている。 これにより、河口部の形態が土砂輸送に与える影響や、河床に堆積した微細粒径土砂成分が、先行晴天日数によってその量が大きく異なることや、同規模の降雨であっても先行晴天日数によって、物質フラックスは大きく変化する様子を捉えることができた。このような結果は、年に数回のイベント的な出水を集中的に計測しただけでは、把握できないものである。 さらに、水質変動の把握を高度化するために東京湾の台場保安部桟橋に、携帯の電波を利用したリアルタイムモニタシステムを設置して、現在も沿岸域のモニタリングを継続中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
栄養塩フラックスを定量化することが本研究の大きな目的であり、そのための新たなシステムも完成したが、観測システム自体の完成に時間がかかり、観測結果の蓄積が十分とは言えない。そこでおおむね順調とした。
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今後の研究の推進方策 |
本研究で開発した観測システムを、多地点で同時展開することで、観測網として機能し、栄養塩フラックスの定量化が飛躍的に進むものと考えられる。
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