研究課題
(1)3次元降雨粒径分布推定手法の構築: 第一に、Xバンド偏波レーダーを用いた雨滴粒径分布推定手法に改良を加えた。これまでは弱雨にはZDRをベースとした手法、強雨にはKDPをベースとした手法を併用してきたが、中間程度の強さの雨に対しての改良を加え、雨滴粒径分布の推定精度を向上させた。第二に、粒径を陽的に表現する雨滴粒径分布の時間発展モデルを構築した。三隅・圓山(2004)らのビン法雲微物理モデルを参考に、雨滴落下の部分のみを用いてモデルを構築した。モデルの鉛直解像度を100mとして、検証を行って妥当性を評価した。(2)粒径分布情報を考慮に入れた偏波レーダー雨量計の開発: レーダーは地面の影響を避けるために山岳などに設置され、およそ1-2 km上空の降水粒子を観測している事に対し、防災上重要となるのは地上における降水量である。高度1-2kmで観測された粒子は上空と同様に、粒子同士が合体・分裂などの変化をしながら落下している。地上付近ではなく、地表面での降水量推定を行うためにはこれらの空間的・時間的なすきまを埋めるために、レーダーの観測高度から落下中の雨滴の物理過程を考慮に入れた。具体的には、高度1kmで観測された偏波パラメータから雨滴粒径分布を推定して、大気環境場を考慮に入れて、凝結・蒸発・併合といったプロセスを表現し、雨滴を地上まで落下させた。ある強雨事例に適用した結果、現状手法であるR-KDP法の相関係数が0.74に対して、開発した手法では0.86と精度が大きく向上した。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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