本研究では、ヒートポンプ暖冷房の能力を冷媒側の熱収支から推定する冷媒エンタルピー法を開発している。本方法は圧縮機の回転数等から冷媒流量を推定する方法(冷媒流量推定法)と、冷媒流量推定法から求めた冷媒流量および熱交換器入口と出口の冷媒温度から暖冷房出力を推定する方法(暖冷房出力推定法)によって構成される。 今年度は、冷媒流量計やサイトグラス、切替弁等の圧力損失が大きかった冷媒流量計測装置を改良して冷媒流量を計測し、CC法による計算値と測定値との冷媒流量の比較、空気エンタルピー法、冷媒エンタルピー法、CC法による処理能力の比較を行った。CC法による能力は、空気エンタルピー法や冷媒エンタルピー法に比べて10%程度の誤差を持つ結果となった。一方で、冷媒流量計測については、運転条件によっては非常に誤差が大きいと考えられる結果となった。CC法を検証する際、空気エンタルピー法により検証する場合にはある程度熱交換器入口・出口のエンタルピー差を推定する必要があるため、できれば冷媒流量で直接比較するのが望ましい。様々な条件で安定的に冷媒流量が計測できることが今後の課題であると思われる。
|