研究課題
本研究は,音環境評価の基本となる音の質的要素の時間変化とヒトの脳磁界反応の関係を調べ,動的音環境評価メカニズムを明らかにすることを目的とする.本年度は,寺院内における読経解析,空調音の質的要素の変化が心理的不快感に及ぼす影響の調査,脳磁界計測を用いた最適サイン音設計手法の検討を行った.寺院内において住職は,儀式に応じて,その位置,向き,発声方法を変えている.しかし,その音響効果は調査されていなかったことから,読経音の相関解析を行った.その結果,位置・向きの効果は両耳間相互相関度,発声方法の変化は,ピッチ.ピッチ明瞭度,スペクトル重心に反映されることを明らかにした.住居やオフィスにおけるエアコン等の空調音は,あまり大きい騒音レベルではないが,夏や冬は常時その音を聞いており,住居内やオフィスにおける快適性や生産性に影響を及ぼすことが考えられる.本研究では,空調音の質的要素が心理的不快感に及ぼす影響を明らかにするため,空調音に対する心理的不快感が相関関数解析によりえられる指標により予測できないか検証した.その結果,空調音の不快感は,騒音のピッチ,スペクトル重心により高精度で予測できることを明らかにした.駅の改札口や階段の場所を音で案内する「サイン音」は,視覚障害者にとって危険物からの逃避や目的場所への移動のために重要である.しかし,実際には視覚障害者の4割強がサイン音を利用しにくいと報告している.本研究では,脳活動からわかりやすいサイン音の推定を目指し,残響時間と両耳間時間差が変化する環境下で,4種類のサイン音(鳥の鳴き声)聴取時の脳磁界活動を解析した.N1m活動強度と音刺激のエンベロープと脳磁界活動の相関を解析した結果,カッコーとコノハズクが利用しやすいサイン音の有力候補であることを示した.
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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