研究課題
これまでに、リチウムイオンキャパシタの単層カーボンナノチューブ(SWCNT)正極にそれぞれの放電電圧1.6、1.8、2.2 Vを印加したセルの静電容量はいずれも0.3 Fであり、時間に対する静電容量変化、抵抗変化が見られないことを明らかにした。一方、比較物質である活性炭電極(高容量かつ官能基量大である活性炭1、低容量かつ官能基量小である活性炭2)では、時間に対する静電容量の低下および抵抗の上昇を確認した。本年度はさらに詳しく電極構造評価を行った。すべての耐放電電圧において球状の析出物を確認した。各サンプルにおいて、放電電圧が下がるとともに、堆積物量は増加し、堆積物も大きくなった。またその析出量はSWCNT<活性炭≒1活性炭2の順番で、SWCNT電極が最も少なく、活性炭2では活性炭1と比較して、小さい球状のものであることがわかった。XRDを測定するとフッ化リチウムと同定されるプロファイルが得られた。TEM-EELSでは、析出物質からLi、C、O、Fが検出され、この堆積物が電子線に非常に弱いこともわかった。以上から、析出物質は電解質が分解して生成されたフッ化リチウムを含めた不導体性物質と考えられる。放電中での熱が電解質を分解し、活物質間に不導体を形成したため、静電容量の低下、高抵抗を生じたものと考えられる。さらに、リチウムイオンキャパシタの単セルに電圧を3.8、4.0Vを印加した充電電圧評価も行い、各電圧で60℃、500時間での負荷特性を調べた。3.8V充電では、SWCNTの静電容量は約2.0~2.5 Fであり、時間に対する静電容量、抵抗の変化も大きくないが、4.0 Vにおいては静電容量(0.5~1.0 F)の低下、抵抗の上昇を確認した。一方、活性炭1、活性炭2では、時間に対する静電容量変化、抵抗変化はほとんど見られなかった。この原因は明らかではないが、過充電側での耐電圧向上には、高結晶性以外の因子が寄与している可能性がある。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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The DOI is in preparation.
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