研究課題/領域番号 |
23686093
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
柴田 直哉 東京大学, 大学院・工学系研究科, 准教授 (10376501)
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キーワード | STEM / 分割検出器 / セラミックス / 界面 / 原子・電子構造 / 軽元素 |
研究概要 |
本年度は、まず多分割STEM信号検出による理論計算予測とSTEM装置の安定化・最適実験条件の抽出を行った。特に軽元素原子カラムを直接観察可能な環状明視野法の最適化を行い、理論計算による最適条件の理論解析を行った。その結果、環状明視野法による軽元素原子カラムのコントラストは、加速電圧が高い条件の方が向上する傾向にあることが明らかとなった。また、環状明視野検出領域の内角を大きくすることにより、像コントラストが改善されることが明らかとなった。この結果は、H、Liなどの極めて原子番号の小さな原子や界面などの局所的に乱れた領域の軽元素を観察する際に変化させることによって観察像質の向上に役立つ実験条件と考えられる。 また、本年度はモデル界面としてAl_2O_3及びTiO_2単結晶同士を高温拡散接合することによって、Al_2O_3及びTiO_2モデル粒界の作製に成功した。このモデルTiO_2粒界を環状明視野STEM法により観察した結果、粒界コア領域の局所的に乱れた原子配列をTiおよびO原子カラム同時に同定することに成功した。今後は引き続き多分割検出による新イメージング、定量評価法を開発するとともにモデルセラミックス界面構造解析への応用及びAFMを用いたモデル界面物性計測を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度の研究計画に示した原子分解能STEMの安定化、多分割検出の理論予測、モデルセラミック界面の作製および多分割検出による原子構造像所得などおおむね達成されており、順調に研究が進展していると判断できるため。
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今後の研究の推進方策 |
これまで予定していた顕微鏡研究パートが順調に進展しており、本年度は詳細な原子構造と種々の物性との相関性の解明や多分割検出理論の更なる発展などを重点的に展開する予定である。
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