研究概要 |
イオン導電率(σ)は,σ=σ0exp[-(ΔE+PΔV)/RT],(σ0:前項因子,P:圧力,R:気体定数,T:絶対温度)で表され,P一定での温度可変測定より伝導の活性化エネルギーΔEが,またT一定での圧力可変測定より活性化体積ΔVがそれぞれ求められる。ΔVはイオンがホッピングにより伝導する際の構造緩和の指標となる。そのためΔEとΔVの両方を評価することが,伝導機構を解明し,優れた電解質ガラスを開発する上で極めて有効であると考えられる。球形圧子などを材料に圧入する圧子圧入試験では,圧子直下にGPa級の3軸圧縮応力場が発生し,様々な材料の力学特性評価に用いられている。本研究では,(1)圧子圧入による応力場を利用した新しい高圧インピーダンス測定法を確立し,(2)新規ガラス電解質を開発することを目的とする。 昨年度に自作の圧子圧入試験機を完成させ、数GPa程度の高圧発生および温度制御(室温から700℃)およびガス雰囲気制御可能であることを確認した。標準試料を用いた変位-荷重曲線や硬度、弾性率測定より、理論値通りに再現性よく測定可能であると判断した。また高温での伝導性に優れる材料を用いて新たに球形圧子の作製を行い、高圧条件でのインピーダンス測定準備は整った。Bi(I)-Bi(II)転移は2.54GPaで生じ,抵抗率が1/3に急減することからアンビルセルを用いた評価でも標準試料として用いられる。そこでまず、高圧インピーダンス測定の標準試料としてBiやZrO2(ΔV=2.1cm3/mol)などを用いて測定精度を確認する。
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今後の研究の推進方策 |
一般に導電率は厚みによらず一定であるが,本装置による測定の場合は,おそらく薄い試料ほど応力場の効果を受ける。試料厚みを薄くすると等方加圧での結果に漸近収束すると予想される。本研究遂行にはこの点の検証が最も重要であり,試料厚みや荷重などの測定条件を変化させて導電率を詳細に調べ,圧子圧入法を利用した高圧インピーダンス測定手法の確立を目指す。Bi(I)-Bi(II)転移は2.54GPaで生じ,抵抗率が1/3に急減することからアンビルセルを用いた評価でも標準試料として用いられる。そこでまず、高圧インピーダンス測定の標準試料としてBiやZrO2(ΔV=2.1cm3/mol)などを用いて測定精度を確認する。
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