研究課題/領域番号 |
23686101
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研究機関 | 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構 |
研究代表者 |
池田 一貴 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 物質構造科学研究所, 特任准教授 (80451615)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 水素 / 水素化物 / 水素貯蔵 / 中性子 / アルミニウム / 結晶構造 / 局所構造 / エネルギー |
研究概要 |
アルミニウム基水素化物の原子・表面構造と水素貯蔵機能に関する研究を進めている。水素貯蔵密度が高いリチウムアルミニウムアミドLiAl(NH2)4について、合成された重水素化物LiAl(ND2)4の中性子散乱測定を大強度陽子加速器施設J-PARCの高強度中性子全散乱装置NOVAで実施して平均構造(Rietveld)解析することにより、(重)水素位置を含めた詳細な結晶構造を決定した。また、合成直後およびその160/400℃熱処理試料の構造因子S(Q)をフーリエ変換した原子対相関関数G(r)について局所構造(Pair Distribution Function)解析を行った。熱処理によりAl-NやN-N相関が明瞭になり、AlN4構造単位によるネットワーク構造の生成が確認でき、非晶質化をともなうアンモニア(水素)放出過程を明らかにできた((1-x)LiAl(NH2)4 → x/3Li3AlN2 + 2x/3AlN + 8x/3NH3)。一方、NaAlH4は単体では溶融しないと水素放出反応が進行しないが、数mol%のチタン系触媒添加により固体状態で水素の吸蔵放出反応が可逆的に進行することが知られている。前年度までに合成方法を確立したAlD3と本研究で新たに合成したNaDをミリングした試料を中性子全散乱測定-平均構造解析することによりNaAlD4が生成したことを確認した。さらに、393~423K、10MPa重水素圧力下におけるその場中性子全散乱測定により、水素吸蔵放出反応にともなうNaAlD4からNa3AlD6さらにNaDへの可逆的な相変化をした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成24年度までに実施予定としていたアルミニウム基水素化物の原子/電子/表面に関する構造解析はほぼ順調である。
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今後の研究の推進方策 |
様々な軽/重水素化物について全散乱測定を実施し、水素化物の中性子非干渉性・非弾性散乱補正を導入した詳細な構造解析を実施することにより、最終目的である高機能アルミニウム基水素貯蔵材料の設計に関する研究を予定通り進める。
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