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2011 年度 実績報告書

チタン酸ナノチューブ固体酸触媒の合成および炭素-炭素結合形成反応への応用

研究課題

研究課題/領域番号 23686115
研究機関東京工業大学

研究代表者

北野 政明  東京工業大学, 応用セラミックス研究所, 特任助教 (50470117)

キーワードチタン酸ナノチューブ / 固体酸触媒 / 細孔径制御 / アルキル化 / アリル化
研究概要

チタン酸ナノチューブの細孔径を制御する目的で、水熱合成時の温度と時間を制御して合成を行ったところ、水熱合成温度120~150℃程度がナノチューブ構造を形成する最適な温度であり、10~20時間処理することで最も収率よくチタン酸ナノチューブが合成できることが明らかとなった。120℃で10時間水熱合成処理した試料は、約5nmのチューブ内径を有し、最も表面積が高くなり、ブレンステッド酸点及びルイス酸点の量も最大となることが明らかとなった。次に、ゾルゲル法でAlとTiの複合酸化物を合成し、それを水熱合成処理することでAlドープチタン酸ナノチューブを合成した。水熱合成時に、Alの溶出が起こり、ほとんどAlが残らないことがわかった。しかし、Ti-Al複合酸化物のAl添加量を多くすると、水熱合成後のチタン酸ナノチューブのチューブ内径が小さくなることがわかった。この手法によりチューブ内径は、5nmから3nmまで変化させることが可能となり、ベンズアルデヒドとテトラアリルスズとのアリルか反応に対して高い活性を示すことが明らかとなった。
チタン酸ナノチューブの酸触媒特性発現機構の解明のために、アンモニアを吸着させた状態のDFT計算を行い、その安定化エネルギーを計算することで酸強度を調べた。チタン酸ナノシートと比較すると、歪んだ構造を有するチタン酸ナノチューブの方が強いブレンステッド酸点を有することが明らかとなった。チタン酸ナノチューブの酸強度を高めるために骨格Ti^<4+>サイトに価数の大きいNb^<5+>をドープしたチタン酸ナノチューブの合成を試みた。Nbの添加量を増加させるにつれ触媒活性が大幅に向上することがわかった。Ti-O-Nbサイト上のブレンステッド酸点が強酸点であることがわかった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

研究目的のうち、ナノチューブ内径の制御、酸触媒特性発現機構の解明、およびNb添加によるチタン酸ナノチューブの触媒活性の向上を達成することができた。また、これらの結果を国内及び海外での学会発表で報告し、現在、学術雑誌に投稿準備中であり、当初の計画通り順調に進展していると判断した。

今後の研究の推進方策

今年度の方針としては、主にNb添加したチタン酸ナノチューブの酸触媒特性発現機構の解明と、Nb以外の金属イオン(Ta^<5+>,W^<6+>,Al^<3+>,Fe^<3+>など)の骨格内への導入、またはチタン酸ナノチューブの層間に多価金属イオン(Fe,V,Al,Cu,Sc等)を導入した新規固体酸触媒を合成する。また当これらの材料を用いて、炭素-炭素結合形成反応(Friedel-Craftアルキル化、アシル化、向山アルドール反応など)への応用を検討する。また、得られた成果をまとめ、国内および海外での学会発表を行い、国際学術雑誌に投稿する。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2011

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (4件)

  • [雑誌論文] チタン酸ナノチューブの固体酸触媒特性2011

    • 著者名/発表者名
      北野政明、原亨和
    • 雑誌名

      触媒

      巻: 53 ページ: 340-345

    • 査読あり
  • [学会発表] Nb添加チタン酸ナノチューブの固体酸触媒特性2011

    • 著者名/発表者名
      北野政明・中島清隆・野村淳子・林繁信・原亨和
    • 学会等名
      第108回触媒討論会
    • 発表場所
      北見工業大学,北海道
    • 年月日
      20110920-22
  • [学会発表] ニオブドープチタン酸ナノチューブの固体酸触媒特性2011

    • 著者名/発表者名
      北野政明
    • 学会等名
      日本化学会第92回春季年会
    • 発表場所
      慶應義塾大学、東京
    • 年月日
      2011-09-20
  • [学会発表] Evaluation of Catalytic Properties of Protonated Titanate Nanotubes2011

    • 著者名/発表者名
      Masaaki Kitano
    • 学会等名
      The Fifth International Conference on the Science and Technology for Advanced Ceramics (STAC-5) and The 2nd International Conference on Advanced Materials Development and Integration of Novel Structured Metallic and Inorganic Materials (AMDI2)
    • 発表場所
      Mielparque-Yokohama, Yokohama, Japan
    • 年月日
      2011-06-23
  • [学会発表] Structural and Catalytic Properties of Protonated Titanate Nanotubes2011

    • 著者名/発表者名
      Masaaki Kitano
    • 学会等名
      The 13^<th> Korea-Japan Symposium on Catalysis
    • 発表場所
      Seogwipo KAL Hotel, Korea
    • 年月日
      2011-05-24

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公開日: 2013-06-26  

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