回分式・亜臨界観察実験装置と、自作した流通式・亜臨界観察実験装置を用い、亜臨界ジメチルエーテルで乾燥ロイヤング褐炭から可燃分を抽出する試験を実施した。 亜臨界ジメチルエーテルの量は大過剰とし、20℃・0.51MPa(常温)から、40℃・0.89MPa、60℃・1.45MPa、80℃・2.23MPaの4条件で実施した。回分式および流通式、20℃から80℃の、全ての実験条件で、乾燥ロイヤング褐炭から、5重量%の固体の可燃分が抽出された。また、-20℃の亜臨界ジメチルエーテルを用いて、褐炭に含まれる不凍水と氷の双方を動じ抽出することにも成功した。褐炭からの可燃分抽出物は5重量%の固体であり、低温域においても温度依存性が無いことが判明した。 抽出された可燃分を、20℃のヘキサンで希釈したところ、DMEが20℃の条件で抽出した可燃分の47.1%しか溶解しなかったのに対して、40℃の条件では52.8%、60℃の条件では60.1%、80℃の条件では61.3%が溶解した。 抽出された可燃分量を、GC-MSで定性分析した結果、DMEが20℃の条件ではGCピークが67箇所、40℃の条件ではGCピークが68箇所、60℃の条件ではGCピークが89箇所、80℃の条件ではGCピークが71箇所測定された。MSスペクトルより、ベンゼン環を基本構造とする成分以外にも、直鎖状の炭化水素も多く含まれることが判明した。 可燃分抽出処理後の残渣の自然発火性は、高温処理された残渣ほど低いことから、各温度で抽出された可燃分の構成物質や構成比率が異なることが判明した。
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