研究概要 |
現行の機械的なアクチュエータと比較すると、生体内の筋肉はきわめて高いエネルギー効率を有している。本研究では、研究代表者が今までに開発してきた「磁力を用いた三次元組織構築技術」を応用して、高密度の筋芽細胞からなる三次元組織を構築し、さらに遺伝子導入および電気刺激培養により機能を高めて、電気刺激に応じて収縮運動する人工筋組織(バイオアクチュエータ)を構築することを目的として研究を行った。平成24年度は研究実施計画に基づいて主に以下の2つの研究課題に関して研究を行った。1. 人工筋組織の電気刺激培養前年度までに、磁力を用いた三次元組織構築技術で、電気刺激によって収縮する筋組織を作製することに成功している。電気刺激のプログラムを筋肉トレーニング用に変更して電気刺激培養を行った。印可電圧・周波数・パルス幅を変えて条件検討を行ったところ、0.3V/mm, 1Hz, 4msの電気刺激条件で培養した場合に最も効果が高く、電気刺激培養なしの場合と比較して約5倍強い力を発生する人工筋組織を作製することに成功した。2. 培養筋芽細胞のタイムラプス解析基底膜などの細胞外マトリクスの影響を調べるために、コラーゲンタイプI, コラーゲンタイプIV, ラミニン, フィブロネクチンがコートされた培養皿を用いて、前年度で人工筋組織の収縮力増強に効果がみられたIGF-1遺伝子を導入したマウス筋芽細胞株C2C12の細胞遊走速度、増殖速度および分化度への影響を調べたところ、コラーゲンタイプIV上で培養した際に、最も効果が高い結果が得られた。これらの結果から、人工筋組織の作製にはコラーゲンタイプIVの添加が有効であることが示唆された。
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