研究課題/領域番号 |
23686122
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
長野 方星 名古屋大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (10435810)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 複合材料・物性 / 熱伝導 / 放射 / ラジエータ |
研究概要 |
熱環境変動が大きい月面着陸ミッションや熱環境が未知な小惑星への探査ミッションでは,熱設計の不確かさをパッシブに吸収できる熱制御技術が今後不可欠となる。本申請は,熱拡散性,蓄熱性,自律温度制御性等を有する新しいスマート複合材により,電力を用いることなく大きな熱環境変動にパッシブに対応できる「先進スマートラジエータ」を開発することを最終目的とし,その基材となる先進スマート複合材の異方的な熱伝導率,放射率分布とその温度依存性を,マイクロおよびマクロスケールで計測する手法を確立し,新概念の機能的ラジエータ設計に応用することを目的とする。今年度は以下の成果を得た。 ・周期加熱法とレーザスキャニングシステムと赤外検知システムを融合させ,非接触でピッチ系CFRP材料の面内熱拡散率マッピングを作成することに成功した。また,新規レーザの導入によりPAN系CFRPなどの低熱伝導材にも適用可能となることを実証した。その結果を基に,試料厚みによる適用限界を明らかにした。 ・新規製作した熱物性分布評価装置を用いて高熱伝導炭素材料の熱拡散率とその温度依存性を明らかにした。また,提案するラジエータに蓄熱性を持たせるため,蓄熱材料候補を選定し,DSCにより潜熱量と相変化温度を調べた。並行して,複合材料と蓄熱材を組み合わせたスマート構造型放熱板を提案した。 ・ラジエータの展開フィンを容易に可逆展開できるようにラジエータ形状を見直し,熱性能と重量が最適となる形状を決定した。次に,設計結果に基づくラジエータを製作した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
研究計画通り,先進高熱伝導材料の異方性分布マップを非接触で迅速に計測することに成功した。さらに,試験的測定により低熱伝導材料への適用も可能であることが示されたことで,本測定手法の適用可能性がさらに広い物で有ることが明らかとなった。
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今後の研究の推進方策 |
機能的ラジエータの性能評価,見直しを行い,より高性能な機能的ラジエータの実現を目指す。熱物性計測に関しては厚み方向測定の適用性を明らかにするとともに測定精度評価も行う。
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