研究概要 |
地震に関する研究は古くから行われてきているが,地震の事前予測が難しい現在においては,地震大国・日本で暮らす我々にとって,地震の発生をいかに速く検知できるかは,重要な問題である.特に日本列島は多くの人が暮らす大都市部や発電所などが多く分布する沿岸部に数多くの活断層が存在するため,安全性確保という観点からも現代社会において直下型の大地震の検知は緊急な課題と言える.本研究では,緊急地震速報を高速化するアプローチの一つとして,地震発生時の断層運動に伴って発生する磁場変化を利用する方法について検討を行っている.そのためには地震断層運動に伴う地球磁場変化信号を出来るだけ多く取得することにある.そこで,(1)地震が多く発生する地域での観測が重要となる.東日本大震災の影響もあり,地震が頻繁に発生する地域が多少変動したため,イベント計測数を考慮し,福島県における磁場観測を想定し,現地調査を実施し,(2)微小磁場変化を計測するための地球磁場観測専用の高感度磁力計の開発を行い,評価を開始した.地震の発生は予測できないため,最大限のデータを収集するように研究グループにて観測システムの保守・点検を欠かさずに自動連続観測を続けている.一方,比較点として利用するための岩手・宮城内陸地震の余震地域である宮城県栗原市の観測点についても計測.データ解析を継続している.さらに,これまで観測したデータについても,東日本大震災の本震発生時を調査し,地震・津波現象に関連する解析・比較を行った.
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今後の研究の推進方策 |
試作した磁力計についてテスト観測を通して,精査・検討し,必要な改良を行うとともに,多点観測に向けて調査を実施する.さらにデータ解析を続けるとともに,信号処理法の開発も検討する.
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