研究課題/領域番号 |
23686134
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研究機関 | 核融合科学研究所 |
研究代表者 |
田村 直樹 核融合科学研究所, ヘリカル研究部, 助教 (80390631)
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キーワード | 乱流熱輸送 / 非局所性 / 相関ECE計測 |
研究概要 |
これまでの研究で閉じ込め方式を問わず、磁場閉じ込め環状プラズマの周辺部を冷却すると同時に中心部の電子温度が上昇する現象(非局所輸送現象)が発現すること、すなわち、同プラズマの熱輸送に「非局所性(ある場所の熱流束が遠く離れた場所の温度勾配に依存する性質)」が現れることを見出している。また最近の研究により、同現象の本質的要因はミクロスケールの乱流とメゾ・マクロスケールの乱流構造との相互作用にあることを指摘しているが、その決定的証拠はまだ得られていない。そこで、本研究の具体的な目的は、プラズマ乱流熱輸送に現れる非局所性における様々なスケールの乱流揺動、特に電子温度揺動の時空間構造を明らかにし、その相互作用を解明することである。当該年度は、核融合科学研究所の大型ヘリカル装置(LHD)において相関型電子サイクロトロン放射(correlation Electron Cyclotron Emission:cECE)計測による電子温度揺動の多点同時計測システムの構築を進め、同システムの有効性の評価を行った。システムの開発効率を上げるために、プラズマから電子サイクロトロン放射(ECE)を受けるアンテナや計測機器を設置する部屋までの伝送系は、慨存の電子温度分布計測システムのそれらを共用とした。システム全体の内、構築が完了した一部のチャンネルのみを用いた予備実験を実施した結果、信号のDC成分である電子温度は既存のECE計測と良く一致した。ただし相関解析を行ったところ、有意な電子温度揺動を得ることができていないことが分かった。今後解析を進めて、電子温度揺動が計測できていない原因を突き止める。その原因が計測システム側にある場合は、早急に改善を進め、次年度の実験では完全なシステムで計測を開始できるようにする。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
核融合科学研究所の大型ヘリカル装置(LED)において、相関型電子サイクロトロン放射(correlationECE>計測による電子温度揺動の多点同時計測システムの構築が進んだことは進展であるが、電子温度揺動が評価できていないことから。
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今後の研究の推進方策 |
現在のシステムでは電子温度は計測できているが、電子温度揺動が計測できていない。電子温度揺動が計測できていない原因が、そもそも電子温度揺動がほとんどないプラズマであったためか、計測システムに問題があったためか解析を進めることで明らかにする。アンテナ構成も含めて、その原因が計測システム側にある場合は、早急に改善を進める。
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