研究課題/領域番号 |
23686134
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研究機関 | 核融合科学研究所 |
研究代表者 |
田村 直樹 核融合科学研究所, ヘリカル研究部, 助教 (80390631)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 乱流熱輸送 / 非局所性 / 相関ECE計測 |
研究概要 |
これまでの研究で閉じ込め方式を問わず、磁場閉じ込め環状プラズマの周辺部を冷却すると同時に中心部の電子温度が上昇する現象(非局所輸送現象)が発現すること、すなわち、同プラズマの熱輸送に「非局所性(ある場所の熱流束が遠く離れた場所の温度勾配に依存する性質)」が現れることを見出している。また最近の研究により、同現象の本質的要因はミクロスケールの乱流とメゾ・マクロスケールの乱流構造との相互作用にあることを指摘しているが、その決定的証拠はまだ得られていない。そこで、本研究の具体的な目的は、プラズマ乱流熱輸送に現れる非局所性における様々なスケールの乱流揺動、特に電子温度揺動の時空間構造を明らかにし、その相互作用を解明することである。昨年度、核融合科学研究所の大型ヘリカル装置(LHD)において予備実験を実施したが、電子温度揺動を計測することができなかった。そこで、本年度は雑音に埋もれた揺動信号を抽出できる条件を確認するために簡易的な模擬解析を行った。具体的には、ランダムノイズとランダムもしくはコヒーレントな揺動が重畳された信号を人工的に生成し、これに対して相互相関解析を行った。その結果、SN比0.1の信号を抽出するためには、解析点が10の5乗点(実験では0.1秒間に相当)必要なことが分かった。また、本年度は相関型電子サイクロトロン放射計測に基づく電子温度揺動計測システムの構築が進み、合計16チャンネルとなった。これにより取得したデータに対して相互相関解析を行ったが、電子温度揺動信号を抽出することができなかった。上記模擬解析結果を踏まえると、取得したデータのSN比が小さいことがその原因として考えられる。実際、現在測定されている雑音強度は理論予想より3倍程度大きいことがわかっている。今後、次年度での電子温度揺動計測成功に向けて、帯域制限などにより低雑音化を進める予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
核融合科学研究所の大型ヘリカル装置(LHD)において、相関型電子サイクロトロン放射(correlation ECE)計測による電子温度揺動の多点同時計測システムの構築が進展したが、電子温度揺動が評価できていないことから。
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今後の研究の推進方策 |
現在の計測システムで電子温度揺動を計測できていない理由の一つとして、SN比が小さいことがあげられる。そこで、まず計測器の帯域制限や電子回路の見直しなどにより低ノイズ化に取り組む予定である。これらの対策により、電子温度揺動が計測できるようになり次第、電子温度揺動の時空間構造に関する実験データ取得に取り組む。
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