研究課題/領域番号 |
23686135
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
柳田 健之 東北大学, 未来科学技術共同研究センター, 准教授 (20517669)
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キーワード | 放射線・X線・粒子線 / 先端機能デバイス / セラミックス |
研究概要 |
今年度は、主にガーネット構造を有する透明多結晶サンプルの研究を行った。具体的には、Y_3Al_5O_<12>型の化学構造を有する化合物をベースに、YサイトをX線やガンマ線に対する光電吸収確率を増加させるために、Gd、Luを10-100%の間で置換させ、またAlサイトはGaと100%置換が可能であることから、同じく10-100%の間で置換させ、その特性の変化を詳細に調査した。これらを試行した結果、Ceを0.1%程度添加した、Gd_3Ga_3Al_2O_<12>シンチレータが最もよい特性を示した。フォトンカウンティングベースの評価においては、絶対発光量が56000ph/MeVに達し、X線CTなどを模擬した積分型計測においては、既存の空港手荷物検査機等に用いられている単結晶CdWO_4シンチレータの約3倍の出力を示した。またX線CTなどではアフターグローの値も重要であるが、これもX線オフ後20msにおいて、300ppmを切り、極めて良好な値を示した。発光波長も550nmとSi系半導体受光素子に好適であり、その観点からも良い特性であると言える。 一方、当該組成に対し、Luを置換していったところ、発光量が徐々に低下していき、LuAGでは約15000ph/MeV、LuGAGでは約20000ph/MeVとなった。仮説ではあるが、Gdを用いることで、Gd^<3+>からCe^<3+>へのエネルギー輸送効率が高く、その結果としてGd系シンチレータが高発光量を示したと考えられる。Gd_3Ga_3Al_2O_<12>シンチレータの問題点としては、完全な透明化が困難であり、その結果として7%程度のエネルギー分解能にとどまったことである。X線CTなどの積分型用途では問題とならないが、ガンマ線計測などのカウンティング用途ではエネルギー分解能の向上が必須となる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
予定通り、ガーネット系シンチレータを作製し、その特性を系統的に評価することが出来た。研究全体の目標としたγ線用Ce:LSOの発光量30000ph/MeV、応答速度100ns以内を持つシンチレータの開発は、初年度のCe:Gd_3Ga_3Al_2O_<12>シンチレータで達成された。今後はCe:Gd_3Ga_3Al_2O_<12>シンチレータを凌駕するシンチレータを開発していく。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度はセスキオキサイド系、平成25年度はペロブスカイト系、平成26年度はパイロクロア系を、予定通り順次研究していく。
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