研究課題/領域番号 |
23686137
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研究機関 | 独立行政法人日本原子力研究開発機構 |
研究代表者 |
徳永 陽 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 先端基礎研究センター, 研究主幹 (00354902)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 自己照射損傷効果 / 格子欠陥 / 核磁気共鳴 / 酸化物燃料 |
研究概要 |
本研究の目的は、物質内部を微視的に探ることができる核磁気共鳴(NMR)法を用いて、マイナーアクチニド(MA) 含有酸化物燃料における自己照射効果に伴う欠陥の形成と蓄積のプロセスを明らかにすることにある。本研究は固体物理における長年の問題であるAmO2の電子基底状態の解明にも繋がっている。 平成24年度は、自己照射効果の具体的な評価を行うため、昨年度整備したNMR測定システムを用いて、243AmO2試料について酸素核NMRの測定を実施した。本研究のため、17O酸素を約90%濃縮した243AmO2粉末試料(約5mg)を準備し、それを10日前後で東北大大洗施設に移送しNMR測定を実施した。これにより自己照射効果がほぼ存在しない場合の電子状態を微視的に確認することができた。また同試料を極低温状態に一ヶ月保管することで、自己損傷効果が急激に進み、それによって微視的な電子状態が変化していく様子も観測できた。通常、室温ではα崩壊により生じた欠陥は、その大部分が格子の熱的な励起により短期間に回復するが、低温ではこのアニール効果が効かないため、回復効果が急激に抑えられ、短時間で損傷効果が蓄積されたものと考えられる。一連の研究により初期の自己損傷効果について基礎的な電子状態の評価を行うことができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画の通り243AmO2試料について酸素核NMRの測定を実施することができた。その結果、初期自己損傷効果について基礎的な電子状態の評価することができた。また極低温保管での実験も計画通り行うことが出来た。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度には243AmO2試料について酸素核NMRの測定を実施し、初期の自己損傷効果について評価することができた。最終年度となる平成25年度は現在室温保管されている同じ243AmO2試料について再度のNMR測定を行う。同じ条件下でNMRスペクトルの経時変化を調べることにより、中、長期保管に関する自己照射損傷効果の評価を行い、初期自己損傷効果との違いも明らかにする。また新たにNp含有UO2試料のNMR実験も実施する。Np含有に伴うUO2の電子状態の変化を微視的に明らかにするとともに、Am含有酸化物との比較も行う。またこれまでの研究成果の取りまとめを行い、国際会議等での成果発表を積極的に行っていく。
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