研究課題/領域番号 |
23686138
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研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | カロテノイド / 色素増感太陽電池 / 有機薄膜太陽電池 / 界面電荷移動 |
研究概要 |
今年度は色素増感太陽電池の色素を有機薄膜太陽電池の方に活用することを理論的に証明することと初めてのカロテノイド太陽電池の発見を達成した。 1.自然のカロテノイドを有機薄膜太陽電池のドナー材料に応用。天然材料とする三種類のカロテノイド分子、リコペン、ベタカロチン、フクロキサンチンを電子ドナーとフラーレン誘導体PCBMを電子アクセプターにした有機薄膜太陽電池を世界的に初めて作った。Space-Charge-Limited-Currentの方法による三種類のカロテノイド分子のホール移動度を測定した。その中にリコピンは従来の有機半導体より更なる高いホール移動度を示した。太陽電池の出力もリコピンの方が一番高く示した。しかし、単波長の電流反応はまだ限られて、その原因を時間分解吸収スペクトルにより解明してみた。それは、光にによる励起した電子はカロテノイドのS2状態から10%程度ぐらいの部分はアクセプターに注入したが、その以外の励起子は基底状態に緩和した。そういう原因で、太陽電池の光電変換効率は1%にも届かなかった。 2.色素増感太陽電池と有機太陽電池の材料の交換性の証明。色素増感太陽電池の材料開発は20年ほど発達してきたが、電解液の漏れの問題で、今までも実用化に難航している。それに対して、有機太陽電池は全固体の太陽電池であり、電解液漏れの問題がない。しかし、現在開発できた有機薄膜太陽電池の材料は非常に限られている。今度の研究はパープリンという色素を色素増感太陽電池の色素と有機太陽電池のドナーとして別々に太陽電池を作った。同じ材料ですので、二種類の太陽電池の界面での電荷分離を比べることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画とおりに天然カロテノイド太陽電池の開発が成功した。その成果は年度末にJ. Phys.Chem. Cで発表済みと成った。パープリン色素を用いた色素増感太陽電池と有機太陽電池の論文もそれぞれJ. Phys.Chem. Cで発表した。そういうことで、年度の目標はほぼ達成したと思う。
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今後の研究の推進方策 |
1.カロテノイド太陽電池に対しては、太陽電池の変換効率を改善する必要がある。その目標を達成するために、リコペンより短い共役二重結合数を持っているカロテノイドを天然光合成細菌からn分離し、使用する必要がある。そうすると、高い電子移動効率になると考えている。 2.色素増感太陽電池と有機太陽電池の界面での電荷分離は非常に似ているので、これからは市販の色素増感太陽電池色素を有機太陽電池のドナーとして、そのまま試してみようと考えている。
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