研究概要 |
下記を当初の研究目的としていた。 A.単細胞性シアノバクテリアの概日および明暗遺伝子発現制御の解析 A1.生化学振動子がどのようにゲノムワイドな転写リズムを引き起こすのか A2.明暗サイクル下では,明暗応答と概日制御はどのように相互作用し,統合化されているのか B.多細胞性シアノバクテリアにおける概日システムと細胞分化パターニングの相互作用の解析 B1.二つの分化状態(栄養細胞とヘテロシスト)における概日機構の違い(分化の時計への影響) B2.発生分化プログラムへの概日時計の関与 B3.細胞間振動同調能の検証 以下,それぞれについて進捗状況を記す。 A1.複数の転写関連遺伝子群の変異株における概日出力パターンをマイクロアレイなどを用いて解析したところ,複数の因子に関して,時計遺伝子kaiBCの発現には殆ど影響を及ぼさないが,ゲノムワイドな出力パターンに大きく影響するとの知見を得た。 A2.暗誘導遺伝子群に対する概日制御の影響について詳細に解析し,連続暗期中で時計遺伝子の発現が停止しても,翻訳後修飾レベルでKai蛋白質振動子が転写制御を行いうるとの知見を論文化した(Hosokawa et al., PNAS, 2011)。 B1.多細胞性シアノバクテリアAnabaenaのKai抗体を作製した。現在,引き続き蛋白質の発現プロファイリング解析を行っている。 B2.このテーマに関しては,観測系の見直しを行ったため,今年度あまり進めることが出来なかった。 B3.蛍光レポーターを構築し,一細胞レベルで概日リズムをモニタリング出来る系の構築を模索した。解析結果については,まだ再現性に不安があり,引き続き解析を続ける予定である。
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