研究課題
単細胞性シアノバクテリアSynechococcus PCC 7942を用いて下記の解析を行った。1) 連続明条件下から様々な概日時刻から暗期に細胞を移したところ、その時刻に依存してKaiCリン酸化リズムの周期と振幅が顕著に異なること、位相はあまり変化しないことを見いだした。また、再び明期に移す場合、位相の大幅な変化が起こる場合にはKaiCのリン酸化動態や位相が速やかに変化することを発見した。その他の詳細な解析を行い、明暗サイクルへの時計の同調機構には、転写翻訳フィードバック機構が強い影響を及ぼすことを提案した。2) KaiCリン酸化部位の二重変異株EE株では、KaiCリン酸化リズムが起こらなくなるが、KaiCの転写翻訳レベルのリズムは不安定ながら長周期で持続する。この株における入出力系の解析を行い、光位相応答が過度に鋭敏になっていること、また、ゲノムワイドな転写出力系は本質的に保たれていることを見いだした。3) 明暗サイクル中、暗期ではゲノムワイドに劇的な転写活性の抑制が起こり、12時間以内に転写産物は80%以上消失し、10%未満が例外的に発現活性化する。光合成阻害剤などを用いた詳細な生理学的な解析とゲノムワイドな発現解析を併用し、そのメカニズムを解析した。その結果、暗期の大規模な応答は、従来想定されていた暗期でのATPの低下にともなう受動的な応答ではなく、むしろATP依存的な積極的な応答であることが強く示唆された。4) kai遺伝子などの高振幅遺伝子の発現の新たな制御因子として、二成分制御系のRpaB蛋白質を同定し、生化学的な解析を行い、論文発表した。また、多細胞性シアノバクテリアAnabaena PCC 7120を用い、ゲノムワイドな発現プロファイリング、発光レポーターの開発などを通じ、その概日特性や分化細胞特異的な概日転写制御を初めての明らかにし、論文発表した。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Journal of Bacteriology
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http://www.f.waseda.jp/hideo-iwasaki/