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2011 年度 実績報告書

深海底熱水活動域における糖鎖を介した生物間相互作用の分子的解明

研究課題

研究課題/領域番号 23687004
研究種目

若手研究(A)

研究機関北海道大学

研究代表者

中川 聡  北海道大学, 大学院・水産科学研究院, 准教授 (70435832)

キーワード深海底熱水活動域 / 共生 / 生物間相互作用 / 糖鎖 / グライコミクス
研究概要

本研究の目的は、深海底熱水活動域において絶対的な共生関係にある微生物-大型生物間の相互作用を、第三の分子生物学(=グライコミクス)の観点から分子レベルで解明することにある。具体的には、これまでの研究において様々な共生系に見いだしてきた特異糖鎖の機能解析およびその認識分子(レクチンやTLR)の網羅同定・発現解析・各分子間相互作用の定量化により目的を達成する。
平成23年度は、計画していた目標を全て達成し想定していた以上の成果を得た。本年度は、中部沖縄トラフに位置する伊平屋北熱水活動域において、独立行政法人海洋研究開発機構の無人探査器を用いた研究航海を実施した。本熱水活動域の水深約1,000mにおいて採取した甲殻類の共生系(化学合成共生微生物はホスト生物の腹部剛毛に付着共生)を主な解析対象とした。これまでの研究において、本甲殻類の共生微生物が類稀な構造の真核生物型糖鎖を有することを突き止めている。共生微生物のものだけでなく、様々な深海性微生物から調整した糖鎖を蛍光ビーズに付加し、ホスト生物に対するエリシターとして用いることで、ホスト生物の各組織における特異糖鎖の影響を解剖学的・判定量的に可視化するとともに、平成24年度に行う免疫学的解析に必要な試料を調整することに成功した。加えて、NMRおよびGCMSを用いて、共生微生物糖鎖(特に細胞表層に存在するリポ多糖)の糖組成分析および構造解析を行った。なお、以上に関連する成果の一部は複数の学会や国際誌上で報告した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

本年度は深海底熱水活動域に棲息する甲殻類において、共生微生物の特異糖鎖の影響を解析した。具体的には、様々な深海性微生物から調整した糖鎖を蛍光ビーズに付加し、ホスト生物に対するエリシターとして用いることで、ホスト生物の各組織における特異糖鎖の影響を解剖学的・判定量的に可視化するとともに、平成24年度に行う免疫学的解析に必要な試料を調整することに成功した。加えて、NMRおよびGCMSを用いて、共生微生物糖鎖(特に細胞表層に存在するリポ多糖)の糖組成分析および構造解析を行った。

今後の研究の推進方策

平成24年度は、深海底熱水活動域に特異的に棲息する大型生物において、共生微生物の特異糖鎖を認識する分子を探索し性状を解析する。中部沖縄トラフの熱水活動域に優占する甲殻類を対象とし、昨年度解明した共生微生物特異糖鎖の作用部位において糖鎖認識分子を探索する。糖鎖へのアフィニティークロマトグラフィーによる精製だけでなく、表面プラズモン共鳴法を用いることにより、ホスト生物が有する糖鎖認識分子を高感度かつハイスループットに網羅同定し、分子間相互作用の定量的に評価を行う。加えて、本年度はインド洋中央海嶺の深海底熱水活動域カイレイフィールドにおける研究航海に参加し、平成25年度以降に行う細胞内共生系の解析に必要となる試料を採取する。これらにより、細胞外共生および細胞内共生の両者を解析し、深海底における異種生物間相互作用の分子機構を比較・体系化することが世界で初めて可能となる。

  • 研究成果

    (13件)

すべて 2012 2011

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (11件)

  • [雑誌論文] Microbial communities associated with Holothurians : presence of unique bacteria in the coelomic fluid2012

    • 著者名/発表者名
      Enomoto, M
    • 雑誌名

      Microbes and Environment

      巻: (in press)

    • DOI

      10.1264/jsme2.ME12020

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Possible kilometer-scale hydrothermal circulation within the Iheya-North field, mid-Okinawa Trough, as inferred from heat flow data2011

    • 著者名/発表者名
      Masaki, Y
    • 雑誌名

      JAMSTEC Report of Research and Development

      巻: 12 ページ: 1-12

    • 査読あり
  • [学会発表] 硫黄酸化細菌と共生している深海底生生物の長期飼育装置の開発2012

    • 著者名/発表者名
      小西正朗
    • 学会等名
      日本農芸化学会2012年度大会
    • 発表場所
      京都女子大学(京都)
    • 年月日
      2012-03-23
  • [学会発表] 伊平屋北海丘の海底熱水系の水銀濃度と同位体組成2012

    • 著者名/発表者名
      丸茂克美
    • 学会等名
      ブルーアース12
    • 発表場所
      東京海洋大学(東京)
    • 年月日
      2012-02-23
  • [学会発表] 飼育下で観察されたゴエモンコシオリエビの摂餌行動2012

    • 著者名/発表者名
      北嶋円
    • 学会等名
      ブルーアース12
    • 発表場所
      東京海洋大学(東京)
    • 年月日
      2012-02-23
  • [学会発表] 化学合成生態系の糖鎖生物学~異種生物間相互認識機構の解明にむけて~2012

    • 著者名/発表者名
      神藤彩加
    • 学会等名
      ブルーアース12
    • 発表場所
      東京海洋大学(東京)
    • 年月日
      2012-02-23
  • [学会発表] 伊平屋北海丘海底熱水系周辺における環境試料中水銀濃度分布2012

    • 著者名/発表者名
      冨安卓滋
    • 学会等名
      ブルーアース12
    • 発表場所
      東京海洋大学(東京)
    • 年月日
      2012-02-23
  • [学会発表] 糖鎖解析支援ソフト「GlyfinTMS^<TM>」の開発2011

    • 著者名/発表者名
      島村繁
    • 学会等名
      第34回日本分子生物学会
    • 発表場所
      パシフィコ横浜(神奈川県)
    • 年月日
      2011-12-14
  • [学会発表] 深海底熱水活動域に優占する微生物群の分離とその性状解析2011

    • 著者名/発表者名
      中川聡
    • 学会等名
      第27回 日本微生物生態学会大会
    • 発表場所
      京都大学(京都)(招待講演)
    • 年月日
      2011-10-10
  • [学会発表] Population genetics and ecophysiology of chemoautotrophic deep-sea vent Epsilonproteohacteria2011

    • 著者名/発表者名
      Satoshi Nakagawa
    • 学会等名
      International Union of Microbiological Sciences 2011 Congress
    • 発表場所
      札幌コンベンションセンター(北海道)(招待講演)
    • 年月日
      2011-09-06
  • [学会発表] インド洋深海底熱水活動域に棲息する細胞内共生微生物のゲノム解析2011

    • 著者名/発表者名
      島村繁
    • 学会等名
      ゲノム微生物学会ワークショップ
    • 発表場所
      東北大学(仙台)
    • 年月日
      2011-08-20
  • [学会発表] 深海底熱水活動域に棲息する共生微生物糖脂質とホスト生物血清中のN結合型糖鎖の解析2011

    • 著者名/発表者名
      渡邊珠希
    • 学会等名
      第30回日本糖質学会年会
    • 発表場所
      ハイブ長岡(新潟県)
    • 年月日
      2011-07-12
  • [学会発表] 糖鎖解析支援ソフト「GlyfinTMS^<TM>」の紹介2011

    • 著者名/発表者名
      島村繁
    • 学会等名
      第10回国際バイオEXPOバイオアカデミックフォーラム
    • 発表場所
      東京ビックサイト(東京都)
    • 年月日
      2011-07-01

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公開日: 2013-06-26  

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