研究課題/領域番号 |
23687008
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研究機関 | 独立行政法人理化学研究所 |
研究代表者 |
岩井 優和 独立行政法人理化学研究所, ライブセル分子イメージング研究チーム, 基礎科学特別研究員 (80553768)
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キーワード | 光環境適応機構 / ヒメツリガネゴケ / 集光アンテナタンパク質 |
研究概要 |
時々刻々と変化する光環境および様々なストレス環境に対応するため、植物は葉緑体内における光エネルギー制御機構をその時々の環境に応じて変換していることが知られている。コケ植物は薄暗い環境を好んで生息するが、乾燥や強光に耐性を持つことが知られており、光エネルギー制御機構を理解する上で、コケ植物特有の重要な機能を持つことが考えられる。本研究では、コケ植物ヒメツリガネゴケを用いて、遺伝子ターゲッティングによるタグの導入および欠損株の作成を行い、得られた形質転換体を試験管内で生化学的に解析することで、植物の光環境適応機構の解明を目指す。 本年度は、まず野生型を用いて、葉緑体の粗精製、チラコイド膜の精製をショ糖密度勾配超遠心によって行った。その結果、ヒメツリガネゴケの光化学系II複合体が他の植物に比べて大きいことが示唆された。チラコイド膜タンパク質を網羅的に解析するため、二次元電気泳動による解析条件の検討を行った。また、各精製サンプルの質量を比較解析するため、ゲル濾過クロマトグラフィーによる解析条件の検討を行った。集光アンテナタンパク質の画分を精製し、分光学的に解析を行ったところ、他の植物には無い波長の蛍光を放出することが分かった。そして、LHCIIの中でも、ヒメツリガネゴケ特有のLHCIIであるLhcb9に着目し、高純度で精製するため、His-tagを導入することを試みた。Lhcb9-His株を用いて、現在、カラムクロマトグラフィーによる精製を行い、複合体形成及び分光学的解析を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ヒメツリガネゴケの生化学的手法の確立がまだ不十分なところがあり改善する必要はあるが、これまでに明らかとなっていないコケ植物特有の性質など見出すことができ、今後、生化学的解析を更に詳細に推し進めることで新規光エネルギー制御機構の解明に繋がる糸口を見出すことが充分にできると見込んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、形質転換体の作成を推し進め、生化学的解析との融合によって、野生型では分かり得ない事象を明らかにしていく。そのためには、形質転換体の作成と維持管理体制を整える必要がある。また、生化学的解析の技術的な向上も必要である。
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